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[プリンスリーグ関東]インハイ王者・桐蔭学園が千葉U-18に敗戦、再始動白星で飾れず

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[8・28 高円宮杯プリンスリーグ第2節 桐蔭学園高1-2ジェフユナイテッド千葉U-18 桐蔭学園高G]

 インハイ王者・桐蔭学園が黒星――。高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プリンスリーグ関東1部は28日、東日本大震災の影響で延期されていた第2節2試合を行い、神奈川県の桐蔭学園高グラウンドでは、今夏の全国高校総体優勝の桐蔭学園高とジェフユナイテッド千葉U-18が対戦。全国制覇してから初の公式戦に臨んだ桐蔭学園だったが前半の2失点により、1-2で敗れた。

「(全国制覇したことでこれから)目標とされるチームになっていくからと言われていた。インハイで自分たちは緩んだりせずに自分たちのサッカーを徹底したから勝つことができた。もう一回引き締めて、きょう勝ってもう一回スタートを切ろうと言っていた。でも、立ち上がり浮いてしまっていました」。SB内嶺大輝主将はそう首を振ったが、桐蔭学園は厳しさを欠いた序盤に喫した2失点によって、再スタートとなる一戦を白星で飾ることができなかった。

 千葉U-18は鈴木裕喜と石原翔平の両CBの成長により、今夏4週間トップチームに帯同していた佐藤祥主将をCBでなく本来のポジションである中盤の底の位置に配置。同じくトップチームに合流していたMF井出遥也、高田俊の中盤と前後との連係もよく、また鋭いプレッシャーによって個人技とパスワークで日本一を勝ち取った桐蔭学園の中盤を封鎖する。

 そして試合の入りが悪かった桐蔭学園から奪った序盤の2ゴールで千葉U-18は試合の主導権を握った。まずは前半3分、左サイドハーフウェーライン付近のSB豊川功治から逆サイドのFW佐藤遵樹へ素晴らしいクロスボール。相手のポジションニングの拙さからこの1本のパスでフリーとなった佐藤遵が、豪快な右足シュートを桐蔭学園ゴールへと突き刺す。さらに20分にはこぼれ球を拾ってGKとの1対1となったFW仁平貴大が追加点となるゴールを押し込んだ。

 不運な失点もあって2点を追う展開となった桐蔭学園は、千葉U-18の厳しいディフェンスの前に選手たちの力だけでは展開を修正できず。ディフェンスラインの背後へボールを送るものの相手守備陣に対応され、千葉U-18を慌てさせる場面をつくることができないままハーフタイムを迎えてしまう。普段は選手たちに自力で打開策を考えさせる山本富士雄監督も、この日のハーフタイムには珍しく狙いどころのヒントを与える場面があった。ただ、相手アンカーの横のスペースに狙いを定めた桐蔭学園は後半巻き返す。

 FW角宮健介が左足シュートを放つなど前半は希薄だったシュートへの意識も向上すると19分、1点差へ迫った。角宮が獲得した直接FKから見事なサインプレーで相手の壁を乱すと、キッカーのMF進藤圭介が正確な右足シュートをゴール右隅へ沈める。士気上がる桐蔭学園。その進藤が中盤の底の位置からチームを動かし、MF山田和輝らのキープ力を活かしたドリブルで強引に仕掛けて相手DFにプレッシャーをかける。千葉の佐藤遵も「後半は防戦一方だった。高校のチームは走りが強くて蹴ってくるイメージがあるけど、桐蔭は中盤が強かった」と振り返った桐蔭学園の反撃。ただ大木誠監督が「ミッドフィールドでプレッシャーをかけるところはできていた。向こうは自分たちのサッカーができなかったと思う」と評した千葉の堅守は中央、サイドでも試合を通じてビッグチャンスをつくらせず、桐蔭学園に競り勝った。

 桐蔭学園は全国優勝後、金沢での強化合宿を経て新潟でのフェスティバルに出場。全国優勝したことで日程が過密になったチームは16日から19日にオフを取ったものの、プリンスリーグへ向けたコンディションは万全ではなかった。それでも内嶺は「心のどこかにインターハイが残っていた。負けてみんな目が覚めたと思う」。全国高校総体では技術の高い個を活かした攻撃力で相手を圧倒した桐蔭学園だったが、この日は自分たちのよさをわずかしか見せることができなかった。油断もあったチームはこの黒星をきっかけに引き締める。

「王者のメンタリティーを持ちながらチャレンジャー精神を持つことが大事。チャンピオンのプレッシャーを楽しみながらやりたい」と語る山本監督は夏冬日本一などを掲げる今後の戦いへ向けて「もう少しプレー精度を上げること。もっとパスをつないで、無駄なタッチを減らしたい。仕掛けられるという特長にパスを加えて、相手に『つかみどころのない』という印象を与えたい」。早くも喫してしまった敗戦を糧に王者はチーム一丸となって成長する。

(取材・文 吉田太郎)

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