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[プレミアリーグイースト]“街クラブの雄”三菱養和SCユースが東京Vユースを完封!!大逆転で残留果たす

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高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグ イースト
[12.11 高円宮杯プレミアリーグイースト第18節 東京Vユース 0-1三菱養和SCユース 駒沢第2]

 三菱養和SCユースが大逆転で残留果たす!! 高校年代の全国リーグ、高円宮杯プレミアリーグは11日、各地で最終節を行った。前節終了時点では勝ち点14で最下位に沈んでいた三菱養和が首位・東京Vユースに1-0で勝利した。勝ち点を17に伸ばすと、この日に行われた試合で勝ち点16のFC東京U-18、勝ち点15の尚志高がともに敗れたため、一気に残留圏の8位へ浮上。大逆転でのプレミアリーグ残留を決めた。

「俺たちはもう死ぬんだ」。前節、F東京との残留争いに0-3で敗れ、残留のためには、あとがなくなった三菱養和。F東京戦を終え、3年生にとっての引退試合でもある最終節まで、1週間を切ったとき、GK駒崎峻が「俺たちはあと7日で死ぬんだ」とチームメイトたちへ声をかけた。この言葉の真意について、駒崎は「死ぬ気でやるとかじゃなくて、本当にあと7日で死ぬんだと思い込んで、(後悔ないように全力で)練習にも試合にも取り組んだ」と明かす。キャプテンのDF冨田将司も「本当にこの1週間は、みんなで“それ”を言い続けていました」と話した。全員が奇跡の残留を信じて、全てをかけて臨んだ一戦。彼らの気迫は、優勝をめざして勝ちを取りにきた東京Vの勢いを上回った。

 この日の布陣は、今季の公式戦では初となる3-4-3システムを採用。DFラインには右からDF横山道一、冨田、DF飯泉涼矢が入った。そこに状況に応じて、中盤の2枚が吸収される形となり、5バック気味での守備網を敷いた。東京Vの攻撃力を警戒し、F東京戦後から3-4-3で戦うことを決めていたが、1週間の調整期間があったとはいえ、選手たちには不安があった。しかし、試合になると「(東京Vの)怖さはあったが引いてやられるよりも、自分たちからどんどん仕掛けて、前から守備していってやられた方が悔いなく終われる」(冨田)と果敢に挑戦する気持ちでピッチへ立った。

 すると、この戦術が見事にはまった。開始直後から試合は三菱養和ペース。果敢なプレスでボールを奪うと、素早く縦へつなぎ、相手の自由な攻撃を許さない。東京Vのロングボールに対しては、最終ラインが弾き返し、中盤がしっかりとセカンドボールを拾った。バイタルエリアまでの進入を許さずに、ボールを奪ってはMF赤松謙らがドリブルで仕掛けていった。

 この流れのなかでゴールが生まれる。前半9分、相手の最終ラインでのパスが乱れたところを見逃さず、DF青山航が敵陣内PA手前でボールを奪取。取り返そうとしてきた相手MFの足が引っかかり、FKを獲得した。キッカーを務めるのは、主将の冨田。PA手前右寄りの位置から、右足で放ったボールは壁を越え、ゴールネットへ吸い込まれた。このゴールが決勝点となり、三菱養和が1-0で勝利。奇跡の残留を決めた。

 前半は6本のシュートを放ったが、後半は0本に抑えられた。それでもセットプレーで得た1点を守りきった。まさに値千金の決勝弾だ。チームメイトたちは冨田のゴールについて「ずっと練習してたやつだもんな」と笑顔で胸を張る。冨田自身も「今年の立ち上げ当初からずっと練習していたので、最後の最後で決められたというのは、すごく嬉しかった。養和全員のゴールだとは思いますけど、努力は惜しまずにやれば、必ず結果は出るというのを身をもって感じたので、良かったです」と笑顔をみせた。後半には相手のシュートがクロスバーを叩くシーンもあったが、全員で最後まで身体を張って戦い抜いた。

 試合後、生方修司監督は「残留することは考えていなかった。信じられない。きょうの試合は来年へ向けてではないけど、プライドを持って戦おうと話していた」と明かし、「きょうは最後の試合ということで、今までのこともチャラにして、(プレミアに)残るとか残らないではなくて、養和らしい、本当に男らしい戦いをしてくれた」と選手たちを賞賛した。昨季は高円宮杯などで、快進撃をみせていた三菱養和だったが、今季のプレミアリーグの後半戦では、ここまで2分6敗と苦しんでいた。しかし、最終節で東京Vを撃破する大金星。3年生にとっての最終戦で“街クラブの雄”として、あるべき姿をみせた。

(取材・文 片岡涼)

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