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[イギョラ杯]藤枝明誠、PK戦で成立に勝利!全国8強世代以上の組織力で「全国のてっぺん取りたい」

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[3.18 イギョラ杯予選リーグD組 成立学園1-1(PK1-3)藤枝明誠 赤羽森公園]

 18日、第22回2012国際親善ユースサッカーイギョラカップが東京都内で開幕。予選リーグ第1戦が行われ、赤羽スポーツの森公園競技場で開催された成立学園高(東京)対藤枝明誠高(静岡)戦は、1-1からのPK戦の末、藤枝明誠が3-1で勝利した。イギョラカップにはコンサドーレ札幌U-18(北海道)やFC東京U-18(東京)、流通経済大柏高(千葉)など東日本の強豪16チームが参加。4チームずつの4組に分かれて予選リーグを行い、各組1位が決勝トーナメントで優勝を争う。

 U-23日本代表をけん引するMF大津祐樹を輩出するなど東京を代表する実力派・成立学園と09年度の全日本ユース選手権と全国高校選手権で8強へ進出している藤枝明誠の強豪対決は、PK戦の末に藤枝明誠が勝利した。試合は開始直後に意外な形で動く。前半1分、成立学園が自陣でつないだボールを追った藤枝明誠MF小林舜典がGKにプレッシャー。GKはクリアしようとするが、距離を詰めた小林の足に当たったボールは、鋭くゴールに突き刺さり先制点となった。いきなりアンラッキーなパンチを受けてしまった成立学園だが8分、右MF松井優斗がGKとディフェンスラインの間へ蹴った右FKをMF吉村郷史が押し込んで1-1の同点に追いついた。

 自陣からポゼッションを取る藤枝明誠に対して成立学園は非常に高いディフェンスライン。前線からチャレンジしてくる相手に藤枝明誠は戸惑い、思うようなパスを通すことができなかった。ただ、昨年から主力8人を残す藤枝明誠は好連係からビッグチャンスを連発する。食いついてきた相手ディフェンスラインの背後へMF高須信光が好キックを連発。入れ替わり立ち代わりにディフェンスラインの背後を突き、そこへ好パスが出てくる藤枝明誠は前線へ飛び出した小林や左SB川島弘が次々と抜け出して決定機をつくり出した。

 高須は「(成立学園には)静岡では味合うことのできない厳しさがあった。でも相手のラインが高かったのでウラを上手く突くことができた。相手のラインを下げたことで自分たちのサッカーをすることができた」。韓国遠征から帰国した直後で疲労感のあった成立学園は同点ゴールを決めた精神的支柱の吉村が負傷退場し、背後を的確に狙う藤枝明誠の前に流れを変える事ができなかった。それでも前半ロスタイム、左CKの混戦でPKを獲得。勝ち越しのチャンスを得る。だが、キッカー・FW高溝黎磨の右足シュートは左へ跳んだ藤枝明誠GK鈴木翔大がストップ。絶好のチャンスを活かすことができなかった。

 高いポゼッションに加え、突破力に秀でた右SB山崎勇一郎主将らがサイドから切り崩す藤枝明誠は後半10分、左アーリークロスからMF嘉茂良悟が決定的な右足ボレー。16分には右サイドを突破したMF熊谷陵のラストパスに再び嘉茂が合わせ、25分には高須の右クロスから三度、嘉茂が決定機を迎えた。27分にも嘉茂のラストパスから小林が決定的な左足シュート。ただ成立学園は森岡幸太監督が「守備のところは良く踏ん張ってくれたと思う」と振り返ったようにDF松崎颯介とDF荷平雅史の両CB中心にゴールを許さない。だが攻撃は縦に速くなってしまい、距離感のいいポジショニングからゆっくりとボールを運ぶ本来の形をつくれず。後半終了間際にはMF新田佑介がディフェンスラインの背後へ飛び出したものの、左足シュートがわずかにゴールを外れ、試合を決めることができなかった。

 PK戦決着となった熱戦は藤枝明誠の鈴木が圧巻のPKセーブ。すでに70分間の試合の中でPK1本を止めていた鈴木は相手の1人目、2人目、そして4人目もストップする離れ業を演じてチームに勝利をもたらした。強豪対決を制した藤枝明誠はここ3年、夏に選手権予選の準備と平行して翌年へ向けた新チームのチーム作りをスタート。今年はこれに前年からの主力が大量に加わり、完成度の高いサッカーを演じている。またトレーニングでは各メニュー終了直後に1分間の時間を選手に与え、彼らがミーティングをする時間をつくったことによって、その都度選手たちが感じた反省点を話し合い、課題を確認することができるようになった。

 新3年生は3年前の全国での躍進を見て入学してきた選手たち。意欲の高い世代は静岡県新人戦決勝で静岡学園にPK戦の末に敗れたものの準優勝するなど、早速結果を残してきている。ずば抜けたタレントこそいないが、組織力は3年前以上というほどハイレベル。田村和彦監督は「スーパーなヤツはいない。個人でかなわない分、どう補うか」。山崎主将は「話し合っていい方向に向いてきていると思う。(全国リーグの)プレミアに自分達の代が上げようと言っているし、インハイはまず県制覇。そして全国のてっぺんを取りたい」と意気込んだ。

[写真]激しくボールを奪い合う藤枝明誠DF山崎(右)と成立学園FW高溝
(取材・文 吉田太郎)

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