beacon

[高校総体]守備成長の流経大柏が「偉大な」先輩越え果たす!(流通経済大柏vs佐賀東)

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.3 平成20年度全国高校総体サッカー競技準決勝 流通経済大柏 2-0 佐賀東 駒場]

 流通経済大柏(千葉1)が「偉大な先輩」の壁を乗り越えた。初の決勝進出を目指す佐賀東(佐賀)と戦った準決勝は序盤、中央からのショートパスで崩しにかかる相手にやや苦戦を強いられたが、前半18分に投入されたMF興梠優介(3年)が相手のキーマン・MF中原秀人主将(3年)を封じるなど我慢強く対応。準々決勝での退席処分によってベンチ入り禁止だった本田裕一郎監督の「前半はゼロに抑えろ」と言う指示を守り通す。そして後半開始直後にMF田口泰士、FW久場光(ともに3年)のコンビで相手DFを完全に崩し、左サイドから走り込んだMF吉村康平(2年)が右足で先制ゴール。同29分には左サイドから長い距離を走り込んだ田口が久場のスルーパスに反応し、そのまま負傷している左足でダメ押しゴールを叩き込んだ。

 現U-19日本代表のFW大前元紀(18=現清水)らを擁し全日本ユース(U-18)選手権、全国高校選手権を制した1学年上の先輩たちと常に比較されて来た。周囲の期待は異常なほどに大きかった。ただ新チームの公式戦初戦となった1月の新人戦千葉県大会で初戦敗退するなど、今年のチームは試合内容、結果が伴わず苦しい道のりを歩んできた。
 だが、この日、昨年先輩たちが全国大会で唯一敗れた高校総体準決勝(昨年は星稜戦を1-2で敗戦)に勝利。この白星に本田監督は「選手には先輩たちにはかなわない、という思いがあったと思う。でも(全日本ユース選手権、全国高校選手権を含む全国大会で)先輩たちを越えられるのは総体だけだぞと言ってきた。昨年に比べて今年のチームはおとなしい。(大会の)序盤は緊張もあったみたい。でも昨日は今日の試合へ向けて気持ちの乗ったいいミーティングをしていた。雰囲気はあった」。そして主将の田口も「先輩たちを越えるには総体しかなかった。勝ててよかった。結果がでてうれしい」と笑顔を見せた。
 イレブン全員にとって「悲願」とも言えた「先輩越え」。指揮官が評価したのは守備の安定についてだった。昨年のチームの特徴は前線から最終ラインまでが圧倒的な運動量で相手のパスコースを消し、ボールを“狩り”得点につなげていっていた。全国高校選手権における1試合の平均被シュートは脅威の4本台。それが中盤、最終ラインの全員が入れ替わった今年はチームの最大の武器である「守り」で苦戦を強いられた。プリンスリーグ(U-18)関東のFC東京U-18戦では5失点を喫するなど守れない試合が多かった。
 ただ、今大会ではDF小川晃平とDF斉藤孝裕(ともに3年)のCBコンビを中心に4試合で2失点。田口は「守備は『最低』と言われてきたけど。最近は失点しないようになれた」と手ごたえを話し、指揮官も「以前は守備に自信がなくて、一発でボールを取りにいけなかった。プリンスリーグでもやられて、やられて。2点がセーフティーリードではなかった。こっちも大分我慢しましたよ。だが、今は(CB2人も)自信がついてきたようだ」と成長した「守り」に目を細めた。
 この日の佐賀東戦勝利後、「(市立船橋との決勝は)夢の千葉決戦。夢の決勝になる」と本田監督は話していたが、その2時間後に市立船橋(千葉2)がPK戦の末に大津(熊本)に勝利。市船橋と決勝で戦うことが決まった。本田監督の「夢」でもあった「全国大会決勝での千葉県勢対決」がかなった。「勝つことだけ考えてやりたいと思う」と誓った指揮官、そして目標の「先輩越え」を果たした選手たちの次の目標は、この一年間で3つ目となる全国タイトル奪取しかない。
<写真>後半29分、ダメ押しゴールを決めた流通経済大柏MF田口をチームメイトが祝福
(取材・文 吉田太郎)

「ゲキサカ」ショート動画

TOP