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[選手権]骨折していても…名古屋入りの吉田は2戦連続の強行出場

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[1.3 全国高校選手権3回戦 前橋育英1-1(PK1-3)流通経済大柏 フクアリ]

 PK戦を制した試合後、流通経済大柏(千葉)のMF吉田眞紀人(3年)は衝撃の事実を明かした。後半からの出場にとどまった2回戦・明徳義塾戦後「理由は言えない」と話し、この日も後半15分からの途中出場。時間限定出場の真相は、明徳義塾戦前日の1日の紅白戦で左足を踏まれ、小指を骨折したためだった。

 病院でレントゲン検査を受け、左足小指の骨折が判明した。「(骨折は)すぐに分かった。きれいに線が入っていた。医者には『絶対にやめた方がいい』と言われたけど、自分のわがままを聞いてもらった」。大会中に回復することはなく、骨がズレれば手術は避けられないという。手術を受けた場合、全治は約2ヵ月とも言われた。それでも「チームに迷惑をかけて申し訳なくて、少しでも試合に出て力になれればと思った。試合に出て迷惑をかけるなら出ないけど、自分としてはできる範囲だと思った」と、ドクターストップにも強行出場を直訴した。

 後半開始から出場した明徳義塾戦は同25分に骨折している左足で決勝点。この日も後半15分から出場し、シュートを2本放った。1-1のままもつれ込んだPK戦でも1人目を務め、力強く左足を振り抜き、ゴール右隅にねじ込んだ。

 「ボールを蹴ると、振動で痛い。でも、PKは1本だけだから」。卒業後は名古屋入団が決まっている。悪化すれば、プロ生活への影響は避けられない。それでも、チームのために、自分を犠牲にしてでもプレーすることを決断した。「気持ちで乗り切りたい」。悲壮な覚悟を固めたエース。その頭の中には高校日本一しかない。

[写真]左足小指の骨折を押して強行出場したMF吉田眞紀人

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2010

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