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柏は10人を崩せず、4戦1得点もネルシーニョ監督は楽観

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[8.15 J1第21節 千葉0-0柏 フクアリ]

 柏レイソルは数的優位を生かせず、0-0のスコアレスドロー。試合後はゴール裏のサポーターから大ブーイングを浴びた。勝ち点3差で追う千葉との直接対決。前半29分に相手に退場者が出る追い風も吹きながら、最後までゴールが遠かった。

 ボールを支配しながら、崩しのアイデアがなく、ラストパス、シュートの精度も欠いた。シュート数を見ても12対11と、10人の千葉と大差がない。ネルシーニョ監督は「質の高いプレーをしようという気持ちが前面に出ていたし、確実に良くなってきている」と強がったが、現実は程遠かった。

 特別指定選手のFW田中順也(順天堂大4年)を先発に抜てきする“賭け”も外れた。プロデビュー戦に「初めての雰囲気にのまれた。自分が思ったようなプレーをできたのは数回」と本人が振り返るように、なかなか効果的なプレーを見せれずにいた。

 試合展開を考えても早めの交代や攻撃の枚数を増やす選択も考えられたが、田中を下げたのは後半22分。2枚目のカードも後半37分で、FWポポに代えてFW北嶋秀朗というFW同士の交代だった。

 結局、ベンチにいたFWフランサも起用せず、交代枠3つを使い切らなかったネルシーニョ監督は「勝つのにFWは5人も必要ない。勝ちたいあまりにシステムを壊して、選手がバラバラになり、負けることはよくある。交代で慌てたり、勝ち急ぐことはない」と強調したが、消極的な采配が目に付いた。

 ボランチで舵を取ったMF栗澤僚一は「みんなが前線に張りっ放しで、センタリングだけ待つという動きばかりだった。誰かが引いて、その裏に行くとか、工夫が足りなかった。相手も止めやすかっただろうし、気の利いたプレーが必要だった」と反省した。これで監督交代後、2分2敗。4試合で奪ったゴールは1点しかない。指揮官とは対照的に、選手の方が現実を見ている。

 「2週間の練習で選手個々の評価ができた。その成果が出てくる時期になっている。勇気が付いてきて、スピード感も出てくると確信している」。あまりに楽観的なネルシーニョ監督の言葉は報道陣へのカモフラージュなのか、本音なのか。残留圏までは勝ち点6差ある。

<写真>サポーターに頭を下げる柏選手たち
(取材・文 西山紘平)

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