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[高校選手権]「北関東の意地」矢板中央がPK戦の末、初の8強入り

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[1.3 全国高校選手権3回戦 作陽1-1(PK4-5)矢板中央 駒場]

 矢板中央(栃木)が1-1からのPK戦の末、作陽(岡山)を振り切り、初のベスト8進出を決めた。矢板中央は後半4分、MF渡辺健太(3年)のゴールで先制。後半33分にFW西田勇樹(3年)に同点ゴールを決められ、試合は1-1のままPK戦にもつれ込んだが、GK三浦拓(2年)の好セーブなどで5-4で競り勝った。5日の準々決勝では広島観音(広島)と対戦する。

 互いにロングボールが目立つ展開だったが、187cmと長身のFW中田充樹(2年)が前線で体を張る矢板中央がセカンドボールを拾える回数が多く、やや優勢に試合を運んでいた。

 しかし、前半13分、FW清水瑞翔(3年)のラストパスから狙った中田のシュートはGK正面。同31分、MF益子直樹(3年)のミドルシュートもゴール上へ外れ、互いに決め手を欠いたまま、前半を折り返した。

 ハーフタイムには両チームが選手を交代。作陽はFW岩崎優(2年)に代えてMF高瀬龍舞(1年)、矢板中央はMF螺良圭佑(2年)を下げ、2回戦の近大和歌山戦(1-0)で決勝点を決めたMF渡辺光(2年)を投入した。

 選手交代で流れを引き寄せたのは矢板中央だった。後半立ち上がりの4分、MF渡辺裕紀(2年)のFKに飛び込んだ渡辺健がヘディングで捉え、先制点。セットプレーを生かし、均衡を破った。

 矢板中央はこの1点で完全にリズムをつかみ、作陽をたたみかけた。後半11分には益子直の左クロスを中田がヘディング。同25分にも益子直のクロスから渡辺光がシュートを放つなどサイドから相手を揺さぶった。

 それでも追加点を奪えず、1-0のまま終盤に入ると、矢板中央はFWも下がって逃げ切りを図るが、守りに入りすぎた。高橋健二監督は「先制点がいつもより早い時間で、守ってしまった部分もあった」と振り返る。後半31分のピンチはDF阿久津貴紀(2年)が懸命に戻ってクリアしたが、後半33分、ついに同点に追いつかれてしまう。

 MF渡部亮武(3年)のFKに飛び込んだのは西田。先制点のお返しとばかりにセットプレーからヘディングシュートを叩き込み、作陽が土壇場で試合を振り出しに戻した。

 作陽は後半36分に守りの中心であるDF住井康紀(3年)が2枚目の警告を受け、退場処分に。残り時間、10人での戦いを強いられたが、なんとかしのぎ、試合はPK戦に突入した。

 PK戦では互いに4人目が失敗。先攻5人目の作陽・渡部のキックをGK三浦がストップし、矢板中央が王手をかけたが、5人目のDF鈴木集(3年)はゴール左に外してしまう。6人目は両者が成功し、キッカーは7人目。作陽のDF酒井瞬(2年)のキックがクロスバーに弾かれたのに対し、矢板中央はDF益子義崇(3年)が落ち着いてゴール左に決め、激闘に終止符を打った。

 3回目の全国選手権出場で3回戦進出も初めてだった矢板中央にとっては8強入りも当然、初めて。栃木県勢としても00年度大会の真岡以来、9年ぶりの準々決勝進出となった。「去年は同じ北関東の前橋育英、鹿島学園がベスト4に行った。同じ北関東として少しでも近づきたいし、もう1つ新たな挑戦をしたい」と高橋監督は力を込めていた。

(取材・文 西山紘平)

特設:高校サッカー選手権2009

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