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[高校選手権]止まらない山梨学院旋風、2回戦の"追試"も合格

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[1.3 全国高校選手権3回戦 山梨学院大付2-0香川西 駒場]

 初出場の山梨学院大付(山梨)が怒涛の快進撃でベスト8進出を決めた。香川西(香川)との3回戦は前半ロスタイムにDF中田寛人(3年)のゴールで先制すると、後半25分にMF平塚拓真(3年)が追加点。2-0の快勝で、山梨県勢としても83年度大会の韮崎以来、26年ぶりの8強入りとなった。

 前半から試合の主導権を握ったのは山梨学院だった。きれいにボールをつないでサイドから攻撃を仕掛けるなど香川西を押し込む。しかし、香川西は4-4-2の守備ブロックをきっちり形成。粘り強く山梨学院の攻撃を跳ね返した。

 前半38分には相手のバックパスを奪ったFW伊東拓弥(3年)がGKと1対1を迎えるが、ここはGK澤柳雄哉(3年)が体を張ってセーブ。あと一歩のところでゴールが遠かったが、前半ロスタイム、セットプレーのチャンスを生かした。

 平塚の左CKから中田がニアサイドに飛び込み、豪快なヘディングシュート。「あの形は練習していた。ニアに走り込んでのシュートは得意」(中田)という先制点を最高の時間帯に奪い、前半を1-0で折り返した。

 前半は守備重視だった香川西も先制されたことで後半は前に出てきた。しかし、後半19分のMF佐々木卓弥(2年)のシュートは中田がブロック。山梨学院は慌てることなく、劣勢の時間をしのぐと、逆にカウンターから追加点を奪った。

 後半25分、MF碓井鉄平主将(3年)のくさびのパスから、途中出場のFW加部未蘭(2年)が鮮やかなワンタッチパス。平塚がゴール前に飛び出し、GKとの1対1を冷静に流し込み、2-0と突き放した。「未蘭が間のスペースに入ってきてくれたので、そこからシンプルにつないで。あの形はすごくよかった」(碓井)という自画自賛のパスワークで試合を決定付けた。

 2回戦の立命館宇治戦(1-0)に続き、相手に守りを固められた。相手の守備組織をどう崩すか。平塚が「点が入らなくて焦れたらチームは悪くなる。焦れずに、じっくりじっくりプレーした」と言うように、縦に急ぎ過ぎた2回戦の反省を生かした。

 J1清水のヘッドコーチ、J2鳥栖のコーチなどを歴任した吉永一明コーチも「(2回戦の)追試は合格」と選手を称え、3人が連動して中央から崩した2点目についても「理想的な形。準々決勝以降にもつながるゴール」と手応えを感じたようだった。

 準々決勝にもなれば、相手も守ってばかりのチームではなくなる。攻め合いになれば、個々のタレントがそろう山梨学院にとっては願ってもない展開。2点目のような形をつくるチャンスも増えるはずだ。

 2回戦の“復習”と準々決勝の“予習”を兼ねた価値ある1勝。一戦一戦着実に進化を遂げる山梨学院の視界に、いよいよ国立も見えてきた。

(取材・文 西山紘平)

特設:高校サッカー選手権2009

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