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[MOM386]初芝橋本FW西岡舜(3年)_仲間思いのストライカー

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[12.31 全国高校選手権1回戦 丸岡 1-3 初芝橋本 NACK]

 悩めるストライカーがここ一番で大仕事をやってのけた。

 1ー1で迎えた後半36分、初芝橋本(和歌山)FW西岡舜(3年)は前線でコンビを組むFW坂本修佑が左サイドを崩した瞬間、「修がシュートを打つかもしれなかったので、こぼれを拾う感じでいた」とゴール前で絶妙のポジョショニングを見せると、盟友からのラストパスを落ち着いてゴールに流し込んだ。

 背番号11を託され、2トップの一角として得点を期待されているが、県予選ではまさかのノーゴール。本人は「プレッシャーになるから点を取れとは言われなかったけど、気になっていた」と苦しんでいた。阪中義博監督も「12月の練習試合でも1点しか取っていなかった」と振り返る。

 この日は丸岡のマンマーク戦術にも手を焼いた。「マンツーされたことはあるけど、あそこまでのはなかなかない。ちょっとうざかった」と得点以前に自分のプレーをなかなかさせてもらえなかった。

 そんななか、全国の大舞台で飛び出した久しぶりのゴールは値千金の逆転弾だった。これには指揮官も「持っていると思う」と相好を崩した。

 本人は「決定力はあまりない」と苦笑いだが、それでも得点感覚に優れるインザーギを見本にゴールへの嗅覚を磨く努力は惜しまない。

 チームでは「ちょっかいを出される」タイプだ。ストライカーらしいエゴイスティックな面はあまり見られず、どこか力の抜けた雰囲気を漂わせる。目標も「ベスト4以上」と鼻息の荒い監督とは対照的に、「できるだけ長くみんなとサッカーを続けたい」と飄々とした口調で語る。

 勝ち続ければ、それだけ仲間と長い時間を過ごすことができる。マイペースのストライカーは「勝てばそれだけ長くいられる」と笑う。勝ち続ける限り、西岡の笑顔は消えない。その先に頂点が見えてくれば、言うことはない。

(取材・文 FBN)
(写真協力 『高校サッカー年鑑』)
【特設】高校選手権2010

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