[6.15 J1第15節 柏0-3磐田 柏]

　まさに圧巻。日本代表のエースが、いとも簡単にゴールをこじ開けた。ジュビロ磐田が首位の柏レイソルに3-0で勝利したが、ここまで4失点の堅守を誇る柏から、日本代表FW前田遼一が2得点を決める活躍を見せた。

「首位の柏にこういう勝ち方ができてうれしい。僕は前の試合で外していたので、責任を感じていた。勝利に貢献できて良かった」

　まずは1-0の前半45分だ。右サイドからDF駒野友一のクロスに飛び込み、左足を合わせてゴールネットを揺らす。柏が絶好機を外した直後の今季5得点目で、相手に与えたダメージは大きかったはずだ。3-0とする自身2点目は後半14分。左サイドを仕掛けたDFパク・チュホのグラウンダーパスにPA内右を走り抜けて右足を一閃。きっちりとダメ押し弾を決めた。

「1点目はヒロキ(山田大記)が、2点目は金園(金園英学)がスペースを空けてくれた。そのおかげです」と本人は謙遜したが、これで今季3度目の複数得点。今季通算6得点とし、得点ランク3位タイに浮上した。この日はFW山崎亮平がU-22日本代表でチームを離れたため、ルーキーFW金園英学と今季初めて先発でコンビを組んだが、エースらしくチームを牽引した。

　日本代表のキリン杯では、1日のペルー戦に3-4-3の真ん中で先発したが不発。リベンジしたかった7日のチェコ戦は、無念にも左かかと痛を再発させて欠場した。0-1でリーグ戦5試合ぶりの黒星を喫した11日の名古屋戦はフル出場したが、シュート1本と精彩を欠いた。この日も「なかなか、完全には痛みが引かない場所」とまだ怪我が完治していないことを明かしたが、気持ちでカバーしフル出場を果たした。

「得点ランク?　ぜんぜん意識していないです。こういう試合を続けて上位に行きたいです」と前田。3年連続得点王が期待されるストライカーだが、それ以上に欲しいのはリーグ制覇の栄冠だ。この日の勝利で順位は6位と一つ上がった。だが、首位の柏とはまだ勝ち点6差ある。寡黙な“ゴールハンター”は、これからも勝利につながるゴールを狙い続ける。

[写真]エースは2得点で存在感を見せ付けた

(取材・文 近藤安弘)