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F東京は6発大勝にも浮かれず、森重「相手が前に前にと出てきたから」

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[9.10 J2第27節 F東京6-1京都 味スタ]
 首位のFC東京は最高の勝利をつかんだ。FWルーカスがリーグ戦ではF東京史上5人目のハットトリックを達成し、ユース育ちのDF椋原健太がプロ初ゴール。そして右足首痛を抱えるDF森重真人に加え、新加入のFW坂田大輔も移籍初ゴールを決めた。今季最多の6ゴールと攻撃陣が爆発し、4試合ぶりの白星を手にした。
「久々のゴールで非常に嬉しい。1点取るだけで嬉しいけど、それが3回あった。FKは日本に来て初めて決めたゴールがFKだったと思うが、それ以来になった。3点取れたが、チームが勝ったことのほうが嬉しい」
 ルーカスの顔から笑みがあふれる。勝利自体が8月13日の草津戦(1-0)以来4試合ぶりで、チームとしての得点も3試合ぶりだった。つまり、ストレスが溜まっていた。特に勝てなかった3試合のうち、昇格を争う栃木と2度対戦。前節4日の対戦は熊谷で行い0-0。その前の8月21日の対戦は1-2と悔しさが募っていた。幸い、他チームも一緒にこけてくれたため首位はキープしていたが、流れは良くなかった。この日の京都戦も前半11分にカウンターで失点。嫌なムードが漂った。
 そんな中、一時は引退しながら古巣のために今夏に日本復帰を決断した助っ人がリズムをもたらした。前半31分に右からのクロスに右足を合わせて1-1同点弾。7試合ぶりの今季2得点目で一気に火が付いた。その後、後半12分には4-1とするゴールを決め、同40分には直接FKを決めてハットトリックを達成。ルーカスが6-1の大勝に導いた。
 チームの複数得点自体も8月7日の岐阜戦(2-0)以来、5試合ぶりだった。ルーカスは「なかなか取れない理由? 私が思うに、前回もチャンスがあったが決められなかった。今日はチャンスで決められた。これまでの試合も気持ちが入っていたが、前の試合でチャンスを作りながらゴールが取れずに悔しい思いをしていた。何としてもゴールを取りたいと思っていた」と悔しさがエネルギーとなり、ゴールにつながったことを明かした。
 とはいえ、喜んでばかりではなかった。後半2分にCKから3-1とするヘディング弾を決めたDF森重真人は「今日は、相手が前に前にと出てきたから。そういう相手だといいんですけど……。京都は、戦い方が、うちと相性のいいやり方なのかもしれません」と分析する。
 タレントの揃うF東京にとっては、相手が攻撃的に来て撃ち合いになるとゴールを奪えるが、大半のチームは、格上チームとして守備を固めてカウンターを狙ってくる。そういうやり方で来られると、スペースがなくて苦戦する。森重は今後、引いて守る相手にどうやって複数得点を奪うかを課題に挙げた。
 J1復帰は目標ではなく、ノルマとしているだけに求める理想は高い。ルーカスも「残り14試合だか、難しい試合が続くと思う。目標はあくまでもJ1復帰。1戦1戦しっかりと戦って、勝たないといけない」と力説した。勝ち点を45に伸ばして首位をキープしたが、満足はできない。この日の6得点に浮かれることなく、J1復帰に向けてさらなる攻撃の形を作っていく。
(取材・文 近藤安弘)

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