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ミスキックも得点につなげる「反則級の高さ」、名古屋に王者の勝負強さ

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[11.19 J1第32節 横浜FM1-2名古屋 日産ス]

 王者が勝負強さを見せ付けた。名古屋グランパスが4連勝で暫定首位に浮上。連覇へ大きな勝ち点3を手にした。前半のシュート数はわずか2本。そのうちの1本をMF小川佳純が先制点につなげた。後半26分にはトリッキーなFKで同点に追い付かれたが、下を向くことなく勝ち越しゴールを目指す。そして後半38分、「反則級の高さ」(小川)で決勝点をもぎ取った。

 左サイドからのFKのチャンス。小川がゴール前に上げたボールをファーサイドのDF増川隆洋が頭で折り返し、FWケネディがヘディングで叩き込む。191cmの増川から194cmのケネディへ。増川は「イメージどおりに待って折り返して。そうしたらそこらへんに4人ぐらいいて、一番デカイやつが合わせた」と冗談めかして振り返る。ゴール前には他にも185cmのDF田中マルクス闘莉王とMFダニルソンがいた。完全に制空権を掌握し、ボールを横浜FMの選手に触らせることなく、ケネディのヘディングシュートがゴールネットを揺らした。

 FKを蹴った小川は「狙いどおりのキックではなかった」と言う。「もっとゴールに向かうボールを蹴りたかった。マスさん(増川)とジョシュア(ケネディ)がいたから。僕は何もしてない。中の選手のおかげ。ミスキックでも得点につなげる強さを持っているし、助かっている」。ミスキックさえも得点につなげる圧倒的な高さ。FW玉田圭司は「他のチームよりうちは武器がある方だと思うし、そこを試合の中で出すことが大事。そこを出せているのがうちの強みだと思う」と胸を張った。

「やるべきことは勝つことだというのは、ここに来る前から分かっていた。大切な勝ち点3を名古屋に持ち帰ることができた」。ストイコビッチ監督は勝利の意味を強調する。「今日は勝つことが重要だった。しかし、まだ終わっていない。あと2試合、3チームに優勝するチャンスがある。頭を使って、インテリジェンスに戦いたい。一つ明らかなのは、最後まであきらめないということ」。柏、G大阪との熾烈なV争い。王者は王者らしく、最後まで戦い抜く。

(取材・文 西山紘平)

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