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「失点7→0」守備立て直した明大完封勝ち(中央大vs.明治大)

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[4.30 関東大学サッカー1部第4節 中央大 0-1 明治大 埼玉スタジアム第3G]

 JR東日本カップ2009 第83回関東大学サッカーリーグ1部は30日、第4節2日目の4試合を行った。埼玉スタジアム2002第3グラウンドの第1試合では、昨年度の全日本大学選手権(インカレ)優勝の中央大と07年度の関東王者・明治大が激突。明治大が途中出場のFW日野竜一(3年=国見高)の決勝ゴールで1-0で勝ち、3勝1敗とした。
<出場メンバー>

 ともにここまで2勝1敗同士の一戦。立ち上がり主導権を握っていたのは中大だった。村田翔主将(4年=F東京U-18)と永木亮太(3年=川崎F U-18)の両ボランチと初先発の左MF六平光成(1年=前橋育英高)を中心にめまぐるしくボールを動かしながら、相手守備網のほつれをつくり出そうとする。そして明大が慌ててボールを取りに来ないと見るや思い切ったミドルシュート。永木やMF柴橋浩太(4年=桐光学園高)が遠目の位置からでもゴールを狙い、シュートがゴールマウスを叩く場面もあった。また守備面でも前線に入ってくるボールを狙い打ち。次々とボールを奪い、明大に全く攻撃の形をつくらせなかった。

 そして後半の開始直後にはショートカウンターとセットプレーから立て続けに決定的なチャンスを得る。だがGK高木駿(2年=東京Vユース)がスーパーセーブを連発するなど耐えた明大はポジションチェンジもはまり、中大に傾いていた流れを引き寄せていく。相手の厳しいマークにさらされていた全日本大学選抜の左MF山田大記(3年=藤枝東高)をボランチ、ボランチのMF小林裕紀(3年=ヴェルディユース)を右MFへ移行。そして神川明彦監督が「得点を取る才能はチーム一」と評価する日野を後半開始からピッチへ送り出し、前線で得点ランキング首位のFW久保裕一(3年=名古屋U18)と組ませる布陣への変更を図っていた。これで山田がボールに触る機会が増加。中大が主導権を握る展開に変わりはなかったが、小林が相手を外してチャンスに絡むなど徐々に効果的な攻撃を繰り出していく。

 17分には山田のミドルシュートのこぼれ球を押し込もうとした久保の一撃がゴールマウスを叩く。得点の予感を膨らませると、19分だ。右SB田中政勝(4年=国見高)が右サイドを駆け上がり苦しい体勢から渾身のクロス。ファーサイドのMF田中翔大(2年=川崎F U-18)が粘ると最後はゴール前に詰めた日野が倒れこみながらも右足でゴールネットを揺らした。
 「一振りで決めろ」と神川監督から送り出されていた3年生FWの大仕事。中大は左SB佐藤秀行(3年=塩釜FCユース)のオーバーラップや183cmの1年生FW安柄俊(東京朝鮮高)らの高さを生かしてゴールへ迫ったが、明大は広島皆実高が1月の全国高校選手権で優勝した時の主将で1年生CBの松岡祐介が相手のロングボールをことごとく跳ね返すなど、守備陣が奮闘。そのまま1点リードを守りきった。
 
 明大は前節の慶應義塾大戦では3分間で3失点するなど計7点を奪われていた。エースの山田は「メンタルの弱さがやられ方に出てしまった」と屈辱的な大敗を振り返る。ただ今回は違った。選手同士の距離感が悪く、ことごとショートパスをつながれた敗戦を反省。課題を修正し、攻撃も安易に人数をかけずに自重するなど、守備から立て直した。圧倒的にボールを持たれていても冷静さを失わなかった。そして最少得点で勝ち点3をもぎ取った。「連敗せずに勝ったのは自信になる。(大量失点を)引きずらずにいけたのはよかった」と山田。指揮官は「選手たちがよく対応してくれた。この勝ちを無駄にしないようにしたい」と貴重な勝利にほっとした表情を見せていた。
 昨年は前期がわずか2勝に終わり、後期の巻き返しも及ばず5位でインカレ出場を逃した明大。全国切符獲得と王座奪還へ。悪い流れを断ち切る素早い切り替えを見せた。

<出場メンバー>
[中央大]
▽GK
小野博信(4年=韮崎高)
▽DF
山田佑介(4年=川崎F U-18)
佐藤秀行(3年=塩釜FCユース)
岩本大(3年=清水ユース)
田港周平(2年=桐光学園高)
▽MF
永木亮太(3年=川崎F U-18)
柴橋浩太(4年=桐光学園高)
73分→佐藤謙介(3年=浦和ユース)
村田翔(4年=F東京U-18)
六平光成(1年=前橋育英高)
65分→鈴木寛一(4年=浦和東高)
▽FW
林容平(2年=浦和ユース)
新田圭(3年=桐光学園高)
58分→安柄俊(1年=東京朝鮮高)

[明治大]
▽GK
高木駿(2年=東京Vユース)
▽DF
田中政勝(4年=国見高)
吉田啓祐(2年=東京Vユース)
松岡祐介(1年=広島皆実高)
奥田大二郎(2年=東京Vユース)
▽MF
宮阪政樹(2年=F東京U-18)
小林裕紀(3年=ヴェルディユース)
89分→都丸昌弘(4年=前橋商高)
山田大記(3年=藤枝東高)
田中翔大(2年=川崎F U-18)
84分→木村丈二(1年=帯広北高)
▽FW
山本紘之(3年=柏U-18)
45分→日野竜一(3年=国見高)
久保裕一(3年=名古屋U18)

<写真>後半19分、先制ゴールを決めたFW日野(左下)ら明大イレブンが喜びを爆発
(取材・文 吉田太郎)

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