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「関東首位決戦」は流経大が「右」で勝利(流通経済大vs.早稲田大)

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[4.30 関東大学サッカー1部第4節 流通経済大 3-1 早稲田大 埼玉スタジアム第3G]

 関東大学1部リーグの「首位決戦」、1位・早稲田大と2位・流通経済大の全勝対決は、流通経済大がMF千明聖典(4年=流通経済大柏高)の先制ゴールなどにより3-1で勝利。首位へ浮上した。
<出場メンバー>

 ともに3戦全勝同士の戦いは前半の戦いがポイントだった。立ち上がりこそMF菅田恭介(4年=多々良学園高)が立て続けにシュートを放った早大だったが、その後は「首位決戦だったので負けたらダメ。とにかく動こうという気持ちだった」という右SB石川大徳(4年=流通経済大柏高)と右MF金久保順(4年=水戸短大附高)のコンビで右サイドを攻略した流経大の時間が続いた。そして19分にはMF柳明基(4年=横浜FMユース)の右クロスをファーサイドのMF宇賀神友弥(4年=浦和ユース)が折り返す。すると、「早稲田があまり前から来なかった。その間に点を取りたかった」と振り返る千明が左足シュートをゴール右隅へねじ込み先制した。
 今季3試合無失点の早大ゴールを難なく破った流経大。この1点でさらに動きが硬くなった早大に対し、変わらず仕掛けた流経大は右サイドを中心に次々と攻撃を繰り出していく。27分には右サイドの石川からのパスを受けた金久保がドリブルで鮮やかな中央突破。そして放った右足シュートはポストを叩いたが、跳ね返りに詰めていた石川が右足で押し込み2-0。さらに32分には、FW船山貴之主将(4年=柏U-18)が鮮やかな右足コントロールショットをゴール右隅に突き刺し、リードを3点とした。
 「前半積極的にいけなかった」と悔しがったのは早大・今井敏明監督。前半25分に攻撃の軸・MF松本怜(4年=青森山田高)が太ももの負傷でピッチを去った影響か、攻撃に恐さがなくなり、守勢にまわってしまった。後半は前半破られていたサイドをケアし、07年U-17W杯日本代表のMF奥井諒(2年=履正社高)のドリブル突破や、最終ラインの裏を突いたFW中川翔平(4年=国見高)らを中心に反撃を展開。ただ、15分の菅田の決定的な右足シュートがゴールライン上でDFにはじき出され、昨年仙台の特別指定選手だった1年生FW富山貴光(矢板中央高)のシュートが枠を外れるなど点差を詰めることができない。
 中野雄二監督が「前半は80点だったけど、後半は50~60点ほどの出来。試験なら追試です」と振り返った流経大は後半もチャンスこそつくっていたが、追加点を奪えずに相手の戦意を喪失させることができなかった。逆に後半だけで計10本のシュートを放つなど気持ちの切れなかった早大は、試合終了間際に奥井が緩急をつけたドリブルから右足シュートをゴールへ突き刺し意地の1得点。前半に失った3ゴールが重過ぎて1-3で敗れたが、次戦(5月3日)の早慶戦へ向けて好内容で後半の45分を終えた。

 一方、勝った流経大は後半の出来に不満顔。中野監督は「手放しで喜べる勝利ではない。3点取って気が緩んだところがあったかもしれないがそれではダメ。後半の45分間でさらに上積みできるようにしないと成長しない」。また千明も「(3点リードの後半に)畳み掛ける力がないと、点の取り合いにされてしまう。厳しくいかないといけない」と反省。首位浮上した前年王者だが、リーグ戦、全日本大学選手権、総理大臣杯全日本大学トーナメントの3冠獲得を目標に掲げているだけに、快勝の喜びよりもチームのさらなる向上への思いが選手、スタッフの頭の中を占めていた。

<出場メンバー>
[流通経済大]
▽GK
林彰洋(4年=流通経済大柏高)
▽DF
石川大徳(4年=流通経済大柏高)
山村和也(2年=国見高)
及川準(4年=利府高)
比嘉祐介(2年=流通経済大柏高)
▽MF
金久保順(4年=水戸短大附高)
87分→ベロカル・フランク(3年=青森山田高)
千明聖典(4年=流通経済大柏高)
柳明基(4年=横浜FMユース)
67分→中里崇宏(2年=流通経済大柏高)
宇賀神友弥(4年=浦和ユース)
▽FW
船山貴之(4年=柏U-18)
76分→張志旭(4年=流通経済大柏高)
上條宏晃(2年=流通経済大柏高)

[早稲田大]
▽GK
菅野一弘(3年=早稲田実高)
▽DF
野田明弘(3年=広島ユース)
岡根直哉(3年=初芝橋本高)
服部大樹(4年=桐蔭学園高)
中川裕平(4年=四日市中央工高)
▽MF
山中真(2年=柏U-18)
菅田恭介(4年=多々良学園高)
71分→胡桃澤祐也(3年=愛知高)
松本怜(4年=青森山田高)
25分→幸田一亮(3年=横浜FMユース)
奥井諒(2年=履正社高)
▽FW
中川翔平(4年=国見高)
79分→鈴木隆司(3年=川越高)
富山貴光(1年=矢板中央高)
<写真>前半、右サイドを攻略しリードをもたらした金久保(左)と石川の流通経済大の“右の矢”
(取材・文 吉田太郎)

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