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関口が初陣で代表デビュー、「メッシと同じピッチに立てた」

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[10.8 キリンチャレンジ杯 日本1-0アルゼンチン 埼玉]

 5万7千を超える超満員の観衆、そして耳をつんざく「関口コール」の大歓声が嬉しかった。後半26分、初招集のFW関口訓充(仙台)がFW岡崎慎司(清水)に代わって出場し、日本代表デビューを果たした。アルベルト・ザッケローニ監督の“隠し球”とされたスピードスターが初陣で起用され、完封勝利に貢献した。

 「超満員の中でプレーする機会はなかなかないので、サッカー選手として嬉しかった。アルゼンチンは個々の力が凄いので、しっかりとブロックを作って守ろうとした。しっかり0で守れてよかったです。緊張はしましたけど、誰もが通る道。これを経験して次に行かないといけない」

 関口の表情にはデビューの喜びと、試合に出たことによる“次への欲求”と両方が感じられた。1-0という緊張感たっぷりの展開の中、A代表では自分よりも実績があるFW金崎夢生(名古屋)やMF細貝萌(浦和)、DF駒野友一(磐田)らを差し置いて起用された。役割は持ち味のスピードと運動量を活かした守備で貢献することだった。とはいえ、相手は世界屈指のアルゼンチン。焦りやビビりが出てもおかしくない状況だが、「おどおどするとかはなかった」という。ボールを追い回し、時には最終ラインに戻って守備に奔走した。

 夢のような時間だった。初めて日の丸を背負う試合が、憧れであり尊敬しているFWリオネル・メッシ率いるアルゼンチン。そもそも、北京五輪を目指すU-21日本代表の候補合宿に一度、招集されたことがあるだけで“真の日本代表”は初めてだった。ザックジャパンへ招集されることも予想しておらず、今回のアルゼンチン戦はメッシを見るために、観戦チケットを取ろうとしていたくらいだった。

 「メッシと同じピッチに立てた。体の使い方とか緩急のつけ方とか上手いし、速い。テレビで見て分かっていたけど、ピッチで見れて勉強になった」と目を輝かせた。とはいえ、これで満足はしていない。「守備のところは出来たけど、仕掛けるところで、自分で仕掛けていけなかった。まだ初戦なんで、この経験を活かしたいと思う」と課題を口にした。この一歩を次の一歩へとつなげたい。今回は“サプライズ選出”と言われたが、この経験を活かし、日本代表に欠かせない選手を目指す。

<写真>代表デビューを果たした関口

(取材・文 近藤安弘)

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