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ザックが目指す“守攻の好バランス”を演出した香川

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 ピッチを縦横無尽に駆け回り、何度も好機を作った。密着されようが、複数に囲まれようが関係ない。ブンデスリーガでレギュラーを張り、7試合4得点。その数字を裏付けるようなハイパフォーマンスで勝利に貢献したのが、左サイドの香川真司(ドルトムント)だった。

 「アルゼンチンは本気ではなかったと思うが、やっぱり球際は強いし、スライディングにも勢いがあった。結果として勝てたのは良かったと思う」。まずは新監督の初陣勝利に笑顔を浮かべた。

 豊富な運動量とドイツで得た自信を武器に、強豪に立ち向かった。圧巻は前半43分。左サイドで相手4人を引きつけて中央の本田圭佑にパス。右サイドにできた広大なスペースへ駆け上がった内田篤人が、フリーでシュートを打った場面の起点になった。

 前半39分には、長谷部誠の右クロスをゴール正面で受け、シュートを狙った。相手DFに寄せられ、2度フェイントを入れるうちにボールを奪われ、「1回切り返したところで打たないといけなかった。あそこで打ち切れるようにならないといけない」と反省しつつ、「あと一歩で抜け出せるところでミスが出る。そこは突き詰めていかないと」と課題を口にした。世界トップレベルの強豪撃破にも、浮かれる様子がまったくないところに、意識の高さが表れている。
 
 評価できるのは、守備の決まりごとをこなしたうえで、攻撃ができたことだ。特に本田圭との距離感は抜群で、二人のコンビネーションで相手守備を崩す場面が何度かあった。「サイドに出させる守備ができたし、ブロックを作ればある程度できるのかなと思えた」と、ザッケローニ監督の方向性に手ごたえを感じている様子だ。

 世界の至宝、メッシとの対戦も楽しんだ77分間。「あんなにブロックしていたのに中央突破してきて、恐ろしいと感じた。一瞬のチョンチョンとした動きが速かった。(プレスに)行くとワンツーだし、行かなければパスを出される。あれでトップコンディションじゃないのだからすごい」と話す表情は喜々としていた。

 「連動した守備はできたし、いい攻撃もできていた」と自画自賛した香川。ザッケローニ監督の目指す“守攻にバランスのとれたチーム”に欠かせない選手として君臨していくつもりだ。

<写真>日本代表FW香川
(取材・文 矢内由美子)

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