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明暗分かれた"エース対決"、第1ラウンドは前田に軍配

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[10.8 キリンチャレンジ杯 日本1-0アルゼンチン 埼玉]

 エースの座を争う2人は明暗が分かれた。注目の先発1トップに入ったのはFW森本貴幸(カターニア)。2列目の岡崎慎司、本田圭佑、香川真司と連動しながら相手ゴールに迫ったが、ポストプレーでボールがおさまらない場面もあり、後半20分に交代するまでシュートを打つことはできなかった。

 「点が取れなくて、それは悔しいけど、やっぱり試合は楽しいし、やっている最中も楽しかった」。クラブで出場機会に恵まれず、試合に飢えていた森本自身は久々の先発出場に充実感を漂わせたが、結果を残せなかったのは事実。対照的に、昨年10月10日のスコットランド戦以来、約1年ぶりの代表戦となったFW前田遼一(磐田)のプレーは衝撃的だった。

 後半20分、森本に代わってピッチに入ると、直後の25分、DF内田篤人とのパス交換から鋭い反転でDFガブリエル・ミリートを振り切り、前に出る。左足のシュートはゴール右に外れたが、圧巻のプレーにスタンドはどよめいた。

 後半36分、内田の右クロスからヘディングシュートを放つと、同45分にはハーフウェーライン付近でボールを受け、中央をドリブルで駆け上がる。後方からDFに引っ張られ、体勢を崩しかけながらも強引に突破。鋭い切り返しでDFをかわし、シュートにまで持ち込んだ。約40mの独力突破。シュートは惜しくもGKのセーブに阻まれたが、5万7735人の観衆の度肝を抜いた。

 25分間の出場でシュート3本。ピッチ上で放つ存在感は、確実に森本を上回っていた。それでも前田は「点を取って、味方を楽にしたいと思っていた。点を取れなかったので、また次も出られたら取れるように頑張りたい。練習から頑張りたい」とまったく満足することなく、悔しさをあらわにしていた。

 森本か、前田か。ザックジャパンのエースの座を懸けた争いの第1ラウンドは前田に軍配が上がった。次なる戦いの舞台は12日の韓国戦(ソウル)。2人が競い合い、切磋琢磨していった先に、日本サッカー界が待望する真のストライカーが誕生するはずだ。

<写真>試合後に笑顔を見せるFW前田
(取材・文 西山紘平)

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