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日本vsアルゼンチン 試合後のザッケローニ監督会見要旨

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[10.8 キリンチャレンジ杯 日本1-0アルゼンチン 埼玉]

 日本代表は8日、埼玉スタジアムでアルゼンチン代表と対戦。アルベルト・ザッケローニ監督の初陣となった一戦は前半19分にFW岡崎慎司(清水)のゴールで先制し、前半を1-0で折り返すと、後半もアルゼンチンの反撃を粘り強く跳ね返し、1-0で逃げ切った。
以下、試合後のザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「私にとってのデビュー戦ということで、この結果に非常に満足している。選手が今回の合宿で私が言ってきたことをどれだけピッチで表現してくれるかを見ていたが、その部分も非常に満足している。

 アルゼンチンは世界の中でスペインと同じ位置にいるチームだと思っている。非常に強敵ということで、試合までのアプローチはいろいろ緊張していた。試合前は選手に『この試合に勝ちたいのであればチーム力で上回るしかない』と話した。サポーターの皆さんにも感謝したい。12番目の選手として私たちを支えてくれた。

 両チームに決定的なチャンスが生まれた試合だったが、我々は2点目、3点目を取るチャンスがあったと思う。試合開始直後は不安な立ち上がりだったが、時間がたつにつれて徐々に自信を持って、厳しいシチュエーションにも見事に対応したと思う。特に我々のチームのサイドチェンジがアルゼンチンに的を絞らせず、いい試合運びができたと思う。

 課題としては、アルゼンチンには経験のある選手が多くいて、自分たちが疲れたとき、難しい状況のときにどうすれば楽にプレーできるかを知っている。日本は経験という意味では劣っている。チームを育てていく上で、そういうところも改善していきたい。特にチャンスをつくられたのは試合終了間際の時間帯だった。間延びして多くのスペースを与えてしまったと思う。ただ、チームはコンパクトにまとまっていた。

 勝ちは非常に大切だが、この勝利で選手が自分たちをもっと信じて、自信を深めていってもらえればと思う。我々の目的はアルゼンチンに勝つことではなく、成長していくこと。数日後には韓国戦もあるので、しっかり準備していきたい」

―今日の試合での一番の収穫は?
「試合前、選手たちに自分たちができること、知っていることをピッチの上で表現してくれとお願いした。それにプラスして、試合の中でもっとリズムを上げて、さらに上げること。縦に、ゴールに向かうことをお願いした。チャンスもつくったし、ゴールに向かう姿勢を見せてくれたと思う。精神面では、どんな相手が前にいようが、おびえないで向かっていってほしいと話した。その面でも選手はアルゼンチン相手に臆することなく、積極的にやってくれたと思う」

―ハーフタイムの指示は?
「我々のゴールのあと、アルゼンチンが前がかりになってきたので、守備面の修正を伝えたのと、2点目を狙いにいこうと選手には話した」

―実際に試合を指揮して日本の選手の印象は?
「今回の合宿、試合を通じて、私が以前から抱いていたものが確信に変わった。非常にいいクオリティーを持っている選手が多く、一方でそのクオリティーに気付いていない選手も多い。自分たちの持っている力に自信を持ってもらいたい。まだまだ伸びしろのある選手も多いし、チーム自体も伸びしろがある。チームと一緒に成長して、14年のW杯を最終目標にして常に成長していきたい。今日の試合はたくさんある仕事のほんの一部にしか過ぎない。我々が最終的に狙っているものは違う。勝利は付いてこなければならないが、長い目でこのチームを見ていく上で、結果以上に内容も見ることができたのは非常によかったと思う」

―ネガティブな面で思惑違いなところはあったか?
「ノン、ノン。選手たちは持っている実力を出してくれた。ネガティブなサプライズはなかった。特にここで言いたいのは、香川、岡崎、森本、本田圭佑という前線の選手がそれぞれ犠牲心を持って、普段慣れていないポジションで代表のために頑張ってくれて、守備陣を助けてくれた。プラスして伝えたいのは、やはりサポーターの力。12番目の選手がサポートしてくれたので結果が付いてきたと思う」

―途中出場した選手のプレーについては?
「交代で入ってきた選手の出来は非常によかったと思う。数人は単純に疲労から、他の選手はチームのバランスを考えて投入した。特に中盤でやられているなというか、中盤の選手がエネルギーをかなり使っているなと感じたので、中盤を厚くするために選手を代えてバランスを整えた。アルゼンチンの中盤での技術力、パスワークが上がって、ディマリアとラベッシがワイドに開いて、スペースに入ってきた。それをカバーするために中盤を厚くした」

―試合後、ロッカールームで選手に話は? 今回のシステムをベースにしていく?
「まだロッカールームで長く会っていないので、多くのことは言えなかったが、『お疲れさま』『おめでとう』と声をかけた。試合前に私が言ったことをできるだけピッチで表現してくれた。海外組の選手はやはり能力が高い。しかし、忘れていけないのはJリーグの選手。Jリーグがすばらしい選手を輩出してくれていると思う。

 次の韓国戦は、ある意味では今日の試合よりも難しい試合になるのではないかと思っている。明日の午前中に今日プレーした選手の状態を確認したい。今日、ケガでプレーできなかった松井、本田拓也、闘莉王の3人の状況を聞いて、韓国戦については考えていこうかなと思っている。GKの川島、岡崎も筋肉に張りが出ていて気になるところがあると聞いているので、明日の午前中にまとめて状態をチェックしたい」

―前線の選手の犠牲心というのは今後チームをつくっていく上でキーワードになると思うが?
「犠牲心という言葉はすべてのチームにとってキーワードになると思う。攻撃陣が前の方で頑張って中盤とDFラインを助けることによって、ボールを高い位置で奪うことができる。それは攻撃陣にとってゴールのチャンスにつながる。攻撃のパーツと守備のパーツの助け合いという意味ではいい関係だと思う。特にマスチェラーノ、エインセ、ブルディッソに入ったときに本田圭佑、岡崎、香川の献身的なプレーがチームを助けたと思う」

―先発にW杯のレギュラーが5人いたが?
「Jリーグが非常に素晴らしい能力の高い選手を輩出している。この1ヵ月、時間の許す限りJリーグを見て、情報を集めて、いつも試合を見て戻るときには、抱えきれないほどの情報を持つことができた。それを今後、代表で生かしていきたい。最後に付け加えたいのは、Jリーグの監督さんたちは本当に素晴らしい仕事をしていると思う」

(取材・文 西山紘平)

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