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[MOM427]東京VユースDF田中貴大(3年)_同点ゴールへ流れつくった起死回生弾

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高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグ イースト
[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]

 前半終了時点でまさかの2点ビハインド。東京ヴェルディユースはコンサドーレ札幌U-18に先手を取られ、苦しい状況に追い詰められた。攻撃でリズムがつくれず、ゴールが遠い。そんな流れを一変させたのがDF田中貴大の一撃だった。

 後半4分、右サイドから攻め上がったFW金子綺杜の浮き球パスは相手DFに当たると、中央へ走りこんでいた田中の元へ流れてきた。迷いことなく右足を振りぬくと、待望のゴールが生まれた。「上手く自分のところにきたので、振ったら入りました」。このゴールで息を吹き返すと、後半16分にはFW高木大輔が追加点。逆転には及ばなかったが、2-2の引き分けに持ち込み、勝ち点1を手に入れた。

 世代別代表経験者が多く先発に名を連ねるチームの中で、田中は決して目立つ存在ではなかった。昨季、優勝を果たしたクラブユース選手権での先発出場はなく、快進撃を続けた東京都天皇杯予選でも先発起用はなかった。それでも地道に努力を重ね、練習でアピールし続けた。そして昨冬のJユース杯、4試合に渡って悲願の先発出場。年明けの東京都クラブユース選手権では、途中出場に留まったが、最上級生として迎えたプレミアリーグの開幕戦で先発に返り咲いたのだ。

「初戦だったので、すっごい緊張してました。先発もあまり無かったので」と話した田中は「ゴールがとにかくうれしかった!」と笑顔をみせた。今季の公式戦初得点は、チームを生き返らせる特別なゴールとなった。

 東京Vユースといえば、例年トップ昇格を果たす選手が活躍しているイメージが強い。しかし、代表の活動などで彼らがチームを空ける時、残されたメンバーをまとめ、支えていたのは、常にチームでひたむきに、練習に取り組む最上級生の姿だった。これまでの2年間、そのような先輩の姿を見てきた田中は、自分がチームで何をすべきか、どのような役割を負うべきか分かっているようにも見える。試合後には「前半に2点取られてしまったけど、そこからみんなで気持ちをみせてプレーしたのが、ゴールにつながったんだと思います」と胸を張った。チームでは“天然キャラ”の田中だが、この日のピッチでは、攻守に渡り頼りがいのある存在となっていた。

 今後の目標は「とにかく1対1に負けないことです!」。最上級生として迎えた今シーズン、決して派手さはなくとも、地道な努力と誠実さを持って、田中が東京Vユースを支えていく。

(取材・文 片岡涼)
特設:プレミアリーグイースト

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