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「我慢比べ」制した順天堂大が王者・明治大撃破!

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[5.14 関東大学1部第3節 明治大0-2順天堂大 夢の島]

 第85回関東大学サッカーリーグ1部は14日、東京都江東区の夢の島競技場で第3節1日目の2試合を行い、昨年優勝の明治大と順天堂大との一戦は2-0で順大が勝利した。明大は開幕3試合未勝利で暫定最下位。一方、2勝1敗の順大は同2位につけている。

「我慢比べの一戦」を耐えきったのは順大だった。昨シーズン、リーグ最少の22試合18失点という堅守で3年ぶりにリーグ制覇した明大は全日本大学選抜GK高木駿(4年=東京Vユース)と同MF宮阪政樹主将(4年=F東京U-18)をはじめ、守備陣にVメンバーのほとんどを残す布陣。この日は同DF丸山祐市(4年=國學院久我山高)を就職試験の関係でメンバーから外したが、それでも堅い守りは変わらない。前半は順大MF天野純(2年=横浜FMユース)にクロスバー直撃の左足FKを放たれた場面をのぞくと危険な場面はなかった。

 一方、大学チームとしては珍しく前線からのハードワークで相手を飲み込むスタイルの順大は王者に真っ向から挑戦する。順大は開幕戦で昇格組の青山学院大に0-1で敗戦。右SB佐藤拓主将(4年=広島ユース)は「昨年6位だったからって『何、えらそうにしてんの?』と反省して。チャレンジャーという立場を自覚し直しました。きょうも試合前に確認して、(青学大戦とは)全然違うサッカーができた」。驕りが招いた敗戦を機に本来のチャレンジャー精神を取り戻したチームは、ハイプレッシャーの守備に加えてセカンドボールでの攻防戦も健闘。10番MF三田啓貴(3年=F東京U-18)を起点にパスをつなぐ明大に思うようなサッカーを展開させない。

 ともに安定した守りを切り崩すほどの違いを生み出すことができなかった。後半、順大はMF岡崎孝幸(2年=鹿島ユース)が放った超ロングシュートを除くとシュートゼロという状態。一方、今大会未だ無得点の明大も守備から攻撃への切り替えの速さからPAまでボールを持ち込むが、教育実習中のため不在の守護神・上福元直人(4年=市立船橋高)に代わり、この日が大学リーグ初出場となった前・ジュビロ磐田の元JリーガーGK大畑拓也(1年=磐田ユース)を慌てさせる場面をつくることができない。

 緊迫の展開が続いた一戦のスコアを動かしたのは佐藤主将が「受けて立とうと思っていた。自分たちは我慢して、後半頑張るチーム」と評する順大だった。後半31分、それまでなかなか突破できなかった明大の中盤のラインを破るとMF栗本広輝(3年=清水商高)がPAへ出したラストパスに交代出場の前・湘南ベルマーレFW原田開(2年=磐田ユース)が飛び込む。ややボールが流れたものの、それでも原田は飛び出してきたGK高木を抜群のスピードで外し、値千金のPKを獲得。これを原田との「キッカー決めじゃんけん」を制したMF市原秀篤(4年=千葉U-18)が右足でゴールへと沈めて先制した。

「前半はしっかり守れたと思う。(得点するまで支えたかったが)相手のカウンターに耐えられず、やられてしまった」と宮阪主将が残念がった明大にとって、この1点が重くのしかかった。一方、攻守両面で俄然勢いづいた順大はさらに33分、交代出場のFW齋藤尚治(1年=栃木ユース)が強引に右サイドから仕掛けて再びPKを獲得。今度は原田が右足でゴールへと叩き込み、勝敗の行方を決定付けた。

 この一戦のために前夜教育実習中の青森を出発して試合会場まで車で駆けつけたという佐藤主将と市原の両4年生から、CB谷奥健四郎(1年=四日市中央工高)、FW山嵜駿(1年=柏U-18)、大畑という1年生トリオまで「全員がリーダーシップを取ってやるべきことに対応している」(佐藤主将)順大が王者との「我慢比べ」を制した。佐藤主将は「この後の試合も『明治だから』、『下位だから』というのではなくて、どのチームに対しても全チームにチャレンジャーとして戦う」。

 一方、未勝利の続く明大は試合後、チーム内で激しく意見をぶつけ合い、涙する選手の姿も。宮阪主将は「(順大のように)ディフェンスがセットされている状況でも崩していかないといけない。チャレンジしていかないと。(勝利につながっていないが)やってきたサッカーを否定したくない。つないで点を取るサッカーでもう一歩踏み出していきたい」と巻き返しを誓っていた。

[写真]後半31分、順大MF市原が先制PK
(取材・文 吉田太郎)
大学サッカー特設:関東1部

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