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[連載]南アへカウントダウン!(21)ファンタジスタ復活へ。俊輔が“ひらめき”で好シュート&パス

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南アフリカW杯開幕まであと27日!
[5.15 J1第12節 横浜FM2-2京都 ニッパ球]

 かつての聖地・三ツ沢で勝利を逃し、マリノスイレブンは頭をたれた。最下位相手に足元を救われ、サポーターからはブーイングもあった。しかし、この男のプレーは日増しに良くなっている。横浜F・マリノスの日本代表MF中村俊輔だ。

 1-1の後半23分、PA正面やや右でパスを受けた俊輔は、ワンタッチで左斜めにボールを出すと、左足を小さくかつ鋭く振り抜きトゥーキックシュート。味方選手も惑わすプレーで、京都GK水谷はキャッチできず。こぼれ球を兵藤慎剛が走りこんでゴールしたが、俊輔のひらめきが一時逆転をもたらした。

 「ああいうひらめきが出せていなかったから、やっていこうと思って。マリノスに来て、ミスしてはいけないとか、周りを生かそうと考えて、アンパイなプレーが多かったけど、少しずつよみがえらせないといけないなと思ってね。シュートのところは一番はタイミングをずらそうと思った」

 忘れかけていた“ファンタジスタ”の感覚が少しずつ、戻りつつあるようだ。相次ぐ足の怪我に、スペイン・エスパニョールから休みなくJのシーズンに突入。満身創痍だったこともあるが、チームになじむために我を捨てて、黒子役に徹していた。

 怪我が治り、体調も上向いてきたことで、もう一度、司令塔らしい自分の感性やアイデアを発揮しようと考えた。横浜FMの勝利はもちろん、その先にあるW杯本大会に向けての準備だった。

 この日は相手の激しいマークに苦しむところもあったが、持ち味のサイドチェンジはもちろん、ダイレクトプレーなども繰り出した。W杯使用になった新スパイクの感覚をためしながら、いろいろとプレーの幅を広げようとした。まだ完全復活には遠いが、随所にらしさは見せた。

 「一回、リフレッシュして、代表が始まったら集中してやりたい。チームが100パーセント以上の力を出せるように、いい準備ができるように頑張りたい」

 21日から始まる日本代表合宿に向け、気持ちを切り替えた。俊輔のアイデアやひらめきといった“ファンタジー”な部分が戻り、それが代表に還元されれば、チーム力向上へのプラス材料にはなるはず。周囲の風当たりは厳しいが、俊輔の巻き返しに期待したい。

<写真>横浜FM・MF中村
(取材・文 近藤安弘)

※今連載ではJリーグ取材時に日本代表選手を取り上げていきます

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