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鄭大世が2戦連発、北朝鮮救う

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[2.20 08年東アジア選手権 北朝鮮 1-1 韓国 重慶]
 
 川崎Fの北朝鮮代表FW鄭大世(23)が2戦連続ゴールを決めた。0-1とリードされた後半28分、鄭はDFチャ・ジョンヒョク(22)の縦パスに反応すると相手DFと競り合いながらゴールへ突進。DFに身体を前に入れられながらも構わず突き進むと、そのまま右足を振りぬきゴールネットを揺らした。雄たけびを上げて喜ぶ鄭にGKまでもが駆け寄って抱きつく。鄭は試合後「まぐれっす。まぐれ2発です」と微笑んだ。
 
 鬼神の形相でボールを追い続けた鄭の気迫がチームを救った。後半3分に退場者を出した北朝鮮は10人でのプレー。前半の失点を挽回するチャンスをほとんど得ることができなかった。だが、鄭は「連戦で身体が動かなかったけど、後悔だけはしたくなかったんで守備に走りました」と懸命にボールを追い続ける。明らかに届かないようなボールに対しても、全力でボールを追ってスライディング。1人少ないチームはこのプレーに引っ張られるかのように、全員が魂のこもった守備でゴールを許さず。韓国の猛攻に耐え、鄭の同点弾をもたらした。
 「前からボールを追って貢献できた」と鄭。初代表だった昨年6月の予選大会では「(チームメートが)パス出してくれないんですよ」と複雑な表情を見せていたが、自らのゴールと献身的な守備で信頼を得て今や北朝鮮代表の柱として君臨。チームは苦しい時、鄭にボールを集め打開しようとしている。

 存在感を増した鄭は現在2得点で得点ランキング首位タイ。さらにこの日引き分けたことの価値は大きい。23日の韓国vs日本が引き分け、なおかつ北朝鮮が同日の中国戦で2点差以上、もしくは3得点以上とって勝てば優勝だ。今大会最終戦の中国戦、チームのために鄭が再び大暴れする。

<写真は同点ゴールを喜ぶ鄭大世>
(取材・文 吉田太郎)

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