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[フットサルW杯]日本、ブラジルに凄敗!![戦評]

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[9月30日 ブラジル・ブラジリア]

今大会、「フットサル世界選手権」から「フットサルワールドカップ」と名称が変わった記念すべき大会で、日本が開催国ブラジルと開幕戦を戦い、1-12で惨敗した。

日本のスタメンはGK川原(浦安)、FP北原(名古屋)、金山(町田)、小野(浦安)、木暮(MMペレスブジャランス)。ファーストシュートは木暮が放った。

戦前から予想されていた苦戦。しかし前半は耐えた。

開始3分にレニージオにオープニングゴールを決められ、5分にもマルキーニョが追加ゴール。
日本はFリーグと違う4秒ルールの間隔(日本では選手がボールを手から離してからカウントされるが、今大会ではボールをセットした瞬間からカウントされた)や、スライディング判定の厳しい基準に悩まされ、戸惑いながら時間が進む。ブラジルの国民的英雄、ファルカンに決められた11分のPKは、小宮山(浦安)がゴール前のボールをスライディングしてクリアしたものを反則と取られた。

しかし、ミドルレンジからでも当たり前のように枠内に飛んでくるシュートの雨を、GK川原が懸命にセーブ。そして15分、今大会代表にサプライズ召集された小曽戸(大分)がカウンターから一人で持ち込みゴール!!代表初ゴールをブラジル相手に挙げた。途中タイマーに不具合が生じ(そこがまたブラジルらしい)不自然に長くなった前半は1-3で折り返す。

後半になって、状況は急変。ブラジルのプレーの質自体が急に上がったとは見えない。むしろ、質の高いプレーを徹頭徹尾続けていたブラジルを、前半途中から日本はよく抑えていた。
その集中力が切れたからか、体力を消耗したからか、日本は後半も前半と同じように3分にゴールを許すと、5、7、8、9分、とあっという間の5失点。12分には稲葉(浦安)がこの試合2枚目のイエローで退場。一人少ないペナルティの間にも易々と得点され、ペナルティ解除直後にもまた失点。気付けば1-12。後半はまともに相手陣に入っていく事もできなかった。

試合後、日本唯一のゴールを挙げた小曽戸は「カウンターから自分の得意な形に持っていけた」とゴールシーンを振り返った後、「相手の技術、戦術についていけず、後半差を広げられた」と語った。

前半の最初の2点は、ブラジルの技術が見えた。日本としてはマークはしっかり付いていた。それでも半身かわされただけで、シュートを決められてしまう。Fリーグであればマークの仕方は「正解」なはずだった。間合いを詰めすぎると逆にかわされてしまう。でもブラジル相手だと日本では正解なはずの間合いがシュートチャンスを許す「隙」になる。
ブラジル選手の針の穴を通すかのようなシュートの正確さ。一瞬のフェイントからシュートへ移行する際のバランス、ボールの置き方、全てが世界のお手本だった。

ブラジルの守備も堅かった。日本選手と違い、幅のある体をめいいっぱい寄せてきて、覆いかぶさるように前に立ち、足を左右に伸ばしてカットを試みてくる。パスすべき相手も見えないし、ボールに足を伸ばしてくるし、その重圧によって、日本は体力面でも精神面でも相当消耗したことは間違いない。

戦術面で目立ったのはミスの質だ。連係が合わずボールが流れタッチを割るシーンは日本の場合珍しくない。一方ブラジルにそのようなシーンは皆無。サッカーで重要視される「3人目の動き」ならず、「4人目の動き」まで把握している。つまりFP4人全員の意思疎通ができている。ミスがあるとしたらフィニッシュぐらい。きっちりシュートで終わるので、カウンターを食らわず守備にも余裕をもって戻れる。

「この敗戦を切り替えて、次の試合にいいメンタルで臨みたい」との小曽戸の言葉は、チームの総意だろう。世界の洗礼も、経験も、いったんは胸の奥に。
続くソロモン諸島、キューバ、ロシアとの試合に勝って日本は2次リーグ進出を目指す。

(文/伊藤亮)

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