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[フットサルW杯]日本執念の2勝目[戦評]

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[10月6日 ブラジル・ブラジリア]

GroupA
日本 4-1 キューバ
得)小曽戸、稲葉2、金山

ブラジルが飛び抜け、その後のグループ2位をかけた戦い。2位が有力視されているロシアへの挑戦権を得るのは日本か、キューバか。両国にとって負けられない試合だった。

2日前のW杯初勝利はもはや過去の快挙。日本は完全に気持ちを切り替えていた。先発はGK川原永光(浦安)、FP小宮山友祐(浦安)、藤井健太(浦安)、稲葉洸太郎(浦安)、稲田祐介(浦安)。浦安のメンバーが日本を代表して戦う姿勢を見せた。キックオフ直後に稲田が相手につっかけゴールを襲えば、ブラジル戦退場の汚名返上を狙う稲葉も果敢にシュートを放つ。

対するキューバは自陣まできっちり引いてゲームを組み立ててきた。攻める日本、守るキューバ。その構図は前半10分まで続くが、日本はシュートを放ちこそすれ、キューバ守備陣の前に沈黙。10分過ぎにキューバがタイムアウト。ここからキューバは時間帯か、はたまたセットか、機を見てハイプレスをかけるように。少し流れが変わるかに見えた矢先、キューバが先制点を挙げる。

15分、キューバ陣内で日本のパスが流れ、それをロドリゲスがクリア…かに見えたキックは、実は前に出ていた日本のGK川原の背後を狙ったシュート。川原は下がりながらボールを手に当てるも弾いてしまいそのままゴールイン。まさかのキューバ先制となり、日本に重圧をかける。

スコアは動かず後半へ。流れは日本、リードはキューバという嫌な状況。後半開始直後から、無謀とも思える強引なシュートを日本は連発する。
しかし「無謀」というのは“これまでは…”という話だった。ショートパスを相手ゴール前までつなぎ、GKをも崩して美しく得点するシーンを見慣れている者には無謀に見えたが、この日の日本はどこか違った。

後半3分、ここまで2戦連続ゴール中のシンデレラボーイ小曽戸允哉(大分)が強引なドリブルで2人をかわしシュート。飛び出したGKは触れられず同点!!さらに2分後「1試合目で退場になって悔しかった迷惑をかけたぶん頑張らなきゃと思っていた」稲葉も相手をかわした後、絶妙なループシュートで逆転!!
1対1のシーンで仕掛けることが希少なはずだった日本には見慣れない、「強引な仕掛け」でゴールを手繰り寄せた。これまでになかった力強さ、愚直さを日本が新たに修得した瞬間だった。

稲葉はこの後13分にも4点目を決め、キューバを自滅に追い込む活躍。
11分の3点目も貴重だった。一気に逆転されて焦りが見え始めたキューバは10分、マルティネスがこの日2枚目のイエローカードで退場。相手が一人少ない時間帯に稲田のシュートのこぼれ球を金山友紀(町田)が押し込み2点差としたシーン。同点を狙う相手の焦りに付け込み、きっちりゴールできるのもこれまで中々できずに苦しんだ日本が新たに獲得した強さと言える。
これでキューバは平常心を失い、残り4分からのパワープレーでも効果的な攻めができず。きっちりブロックを形成した日本守備の壁にシュートを当てては跳ね返された。

「流れは悪くない、続けて焦らず、自分たちのプレーをしていこう」。ハーフタイム、選手たちはそう言いあっていたとは稲葉の弁。
自分たちのやっていることが間違いないと、当事者たちが言い切れるのはそんなに簡単なことではない。切り替えていたとはいえ、2日前の初勝利の自信は心の奥に植え込まれていたのか。そしてこの日、いい意味で「らしくない」ゴールで勝利をもぎとった日本。チームのテンションは右肩上がり。その勢いのまま、グループリーグ最終戦で強豪ロシアにぶつかり、大目標である2次リーグ進出を目指す。

(文/伊藤亮)

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