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Jを目指せ! by 木次成夫

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第129回「西日本大会」
by 木次成夫

 西日本社会人サッカー大会が、20日から22日まで高知県で開催されました。会場は高知市の春野総合運動公園球技場と高岡郡佐川町の「スポーツパークさかわ」。出場チームは、08年シーズンの関西、中国、四国、九州リーグの上位2チーム=合計8チーム。3日連戦のトーナメントですが、2日目と3日目は、前日の敗者どうしも対戦する形式。つまり、「勝ち残り」と「負け残り」で、1位から8位まで、決めるわけです。

結果は以下の通り。

▼2月20日
レノファ山口(中国1位)1-0 V・ファーレン長崎(九州2位、09年=JFL)
徳島ヴォルティス・セカンド(四国2位)5-2 バンディオンセ加古川(関西1位)
沖縄かりゆしFC(九州1位)0-1 アイン食品(関西2位)
佐川急便中国(中国2位)2-1 カマタマーレ讃岐(四国1位)

▼2月21日
レノファ 0-4 ヴォルティス・セカンド
アイン 1-0 佐川中国
V・長崎 4-0 バンディ
かりゆし 2-1 カマタマ

▼2月22日
・1~2位決定戦
アイン 1-1(PK5-4) ヴォルティス・セカンド

・3~4位決定戦
レノファ 2-3 佐川中国

・5~6位決定戦
V・長崎 6-3 かりゆし

・7~8位決定戦
バンディ 0-3 カマタマ

 例えば、今季はJFLのV・長崎が5位、相対的に大補強をしたカマタマーレが7位。結果だけ見ると“波乱”ですが、試合ごとに多くのメンバーを入れ替えたことも、影響しています。以下、「Jを目指す」チームの現状と印象――。

●バンディオンセ加古川
 関西リーグ4連覇中の強豪ながら、昨季後、クラブ経営難に陥り、ほとんどの主力がチームを去りました。今季はアマチュアチームとしてリスタートする方針のようです。今大会登録メンバーは17人(大会規定の上限は22人)。大会初日の20日は平日(金曜日)だったためか、サブは“わずか”3人(GKはスタメンの1人だけ)。とはいえ、JFLクラブ所属歴のある選手も複数いるなど、危機的状況なりに好選手も集まったという印象でした。

 ところが、ハームタイムに指示をする橋本雄二監督からは「今日が初めて」とか「セレクション」といった“意外な”言葉が――。試合後に同監督に話を聞くと、今大会は事実上の“二次(あるいは最終)”セレクションで、大会初日(20日)の朝、三ノ宮(神戸)に集合して、チームのバスで高知入りしたとか。つまり、「チームとして試合をするのは初めて」(同監督)。昨季所属選手のうち、今大会登録は4人(木村卓也、西村莞爾、吉田真史、寺光峰竜)ながら、合計7人が残留しているとか。

 20日、対ヴォルティス・セカンド戦。「初めて」ということを考慮すると、チーム力向上の可能性も感じました。昨季のチームと比べると戦力低下は明らかですが、ハーフタイムに監督が「俺はJFLを諦めていないから」など、叱咤激励をしたのが効いたのか、後半は、優勢に進める時間帯もありました。

 22日、対カマタマーレ戦。数少ない昨季の主力であるDF木村卓也(28歳)とFW西村莞爾(30歳)を中心に全員が必死にプレーし、積極的に声を出し合う様は感動的でした。昨季までは相対的にハイレベルな選手が揃いながらも大人しいチームだという印象があったので、余計に――。報酬の問題を超えた、サッカーへの情熱を感じました。ちなみに西村は、この試合、CBで出場。失点につながるポジショニング・ミスもありましたが、バンディの前身である「セントラル神戸」時代も知る“キング・カンジ”(愛称)の存在は大きいです。

●カマタマーレ讃岐
 経費削減のためか、ホームの高松からバスで3日連続の日帰り。春野までは車で2時間弱、佐川までは2時間半程度(クラブ関係者)。佐川で10時キックオフだった22日は、「朝6時に高松を出発しました」(クラブ関係者)とか。比較的近いとはいえ、疲労がプレー内容に影響した面もあると思います。

 試合は、21日の“かりゆし”戦と22日のバンディ戦の2試合を見ました。新加入選手12人の大補強を敢行したゆえに、今は“産みの苦しみ”という印象です。2試合を見る限り、キープレーヤーはボランチの中原浩介(21歳=今季加入、前ジェフ・リザーブズ)。1月下旬のセレクションに合格した後、チームに合流したため、コンビネーションは“まだまだ”ですが、際立ったパスセンスは目だっていました。

 新加入の中では、昨季まで2シーズン、松本山雅に所属していたFW佐々木惇(24歳、前・筑波大学←暁星高校)も気になっていた1人。羽中田監督が、かつて暁星高校でコーチをしていた当時の教え子で、山雅時代は学習塾の講師。ちなみに、カマタマーレのユニフォーム背中スポンサーは“家庭教師のトライ”で、今大会は高松高等予備校のバスを借りて遠征。そこで、“今度の仕事も教育関係?”と問うと、「その予定です」(佐々木)。山雅時代は、ファンを大事にすることでも有名だった選手ゆえ、“ファンを増やす”点でも、経験を生かしてほしいです。

●徳島ヴォルティス・セカンド
 昨季以上に、カマタマーレにとっては手ごわい相手になるかもしれないという印象です。中でも注目は、新加入の左SB、園田清次(20歳、前V・長崎=東京Vからレンタル)。CK、FK、攻撃参加力など、持ち味を発揮していました。チームには「僕から頼んで、入れてもらいました」(園田)とか。元U―18日本代表という肩書きを持つ選手が、このままで終わるのは“もったいなさすぎ”。再チャレンジに期待したいです。

●V・長崎
 21日は昨季の主力メインで、20日と22日は新加入及び昨季の控えメイン。昨季の主力“ほぼ”全員が残留したものの、相対的に見ると補強は地味。JFLで戦っていく上では、選手層の薄さが気になりました。

●レノファ山口
 昨季の主力が残留したため、チーム完成度は、現時点では上々。新加入の中ではCBの伊藤博幹(21歳、前・G大阪)が効いていました。少なくとも昨季よりは、チーム力がアップするはず。つまり、日本各地のJFL昇格を目指すチームにとっては、侮れない存在です。

●沖縄かりゆしFC
 エース・ストライカーの斎藤将基(前・東京V)が退団した穴は大きいものの、MF関隆倫(28歳、前・ファジアーノ岡山、元・水戸)の加入で、サイドアタック力は向上したという印象です。よほどの波乱がない限り、全国地域リーグ決勝大会出場=九州リーグ「2位以内」は順当でしょう。

<写真>春野総合運動公園内の野球場。プロ野球人気は絶大のようです

▼関連リンク
西日本大会Photoニュース
20日レノファ対V・ファーレン
20日ヴォルティス・セカンド対バンディオンセ加古川
21日沖縄かりゆし対カマタマーレ
22日バンディオンセ対カマタマーレ1
22日バンディオンセ対カマタマーレ2

紹介クラブリスト09
紹介クラブリスト08年以前

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