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アフリカの雄・コートジボワールが“死の組”の犠牲者に

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[6・25 10年W杯GL・G組 北朝鮮 0-3 コートジボワール ムボンバラ]

 アフリカの雄、コートジボワールも決勝トーナメントに届かず――。10年W杯南アフリカ大会グループリーグG組最終戦の北朝鮮対コートジボワール戦がネルスプロイトのムボンバラで行われ、コートジボワールが3-0で勝った。今大会初勝利で勝ち点を4へ伸ばしたコートジボワールだったが、グループ2位・ポルトガルに勝ち点1及ばず、敗退が決まった。
 
 北朝鮮にシュート28本を浴びせて3-0で完勝したコートジボワールだったが、試合後、その表情に笑顔はなかった。エースのディディエ・ドログバ(チェルシー)やコロ・トゥレ(マンチェスター・C)らをはじめ、欧州トップクラスのクラブに所属するタレントを多数擁し、アフリカ勢初のベスト4進出も期待されていたがブラジル、ポルトガルと同居する“死の組”の犠牲者となってしまった。
 
 第2戦終了時点で1分1敗の3位。2位・ポルトガルがブラジルに敗れることが条件だったが、逆転での決勝トーナメント進出の可能性を残していたコートジボワールは、4-3-3システムで最終戦に臨んだ。GKがブバカル・バリーで4バックは右からエマニュエル・エブエ、コロ・トゥレ、ディディエ・ゾコラアルトゥール・ボカ。中盤の底の位置にイスマイル・ティオテが入り、その前方にヤヤ・トゥレロマリッチが構えた。ドログバを頂点とする3トップは右がアブドゥル・カデル・ケイタで左にジェルビーニョが入った。

 一方、2連敗ですでに敗退が決定している北朝鮮は不動のメンバーによる5-3-2システム。GKがリ・ミョングクで5バックはスイーパーのリ・ジュンイルを中央に、リ・グァンチョンとチャ・ジョンヒョクがストッパー、チャ・ジョンヒョクとチ・ユンナムを左右のウイングバックに配置。中盤はパク・ナムチョルアン・ヨンハ、ムン・イングクの構成で、2トップはチョン・テセとホン・ヨンジョが先発した。

 試合開始1分にヤヤ・トゥレのスルーパスで抜け出したケイタが決定的なチャンスを迎えるなど立ち上がりから一方的に攻めたコートジボワールは前半14分、中盤でのパス交換から左サイドのボカへ展開。ボカからのグラウンダーのパスを受けたMFヤヤ・トゥレが右足で冷静にゴール右隅へと流し込み、先制点を奪う。すぐさまボールを拾いセンターサークルへとボールを運ぶ選手たち。相手に息つく間も与えず北朝鮮ゴールへと迫ったコートジボワールは20分にも、ボカの左クロスをファーサイドで受けたドログバが絶妙なコントロールから弾丸ショット。これはクロスバーを叩くが、跳ね返りをロマリッチが頭で押し込み2-0とした。

 ポルトガル戦で大量7失点している北朝鮮をさらに攻め立てるコートジボワール。ジェルビーニョの右足シュートがポストを叩くなど、チョン・テセの前方へロングボールを放り込むしか攻め手のない北朝鮮を自陣に釘付けにする。だが、7分間で喫した2失点後、北朝鮮はDF陣が集中力を切らさなかった。DFリーダーのリ・ジュンイルやアン・ヨンハを中心に泥臭く守り続け、前半だけでシュート計14本を放たれながらも次の1点を与えない。多少パスの精度を欠いても、その個人能力の高さで決定的な場面を作り出していたコートジボワールだが、全く前に出てこない北朝鮮を攻めあぐねてしまう。ロマリッチらの強烈なミドルシュートが再三ゴールを捉えるが、それもGKの正面を突き、時間が進むにつれて攻撃は雑になっていった。

 後半半ば以降、コートジボワールはサロモン・カルー、アルナ・ディンダン、そして元柏のドゥンビア・セイドゥとFWを次々に投入し、4トップにして攻め続けたが、得点はボカの左クロスをカルーが押し込んだ1点のみ。得失点差9を詰めるための大量得点を奪えなかった上、ブラジルと引き分けたポルトガルが勝ち点を5へ伸ばしたため、敗退が決定した。

 一方、北朝鮮はW杯初ゴールを目指すチョン・テセが遠目の位置から積極的にシュートを放つなど後半だけでシュート5本。36分には途中出場のFWチェ・グムチョルの絶妙な左クロスから抜け出し、ゴール至近距離から右足シュートを放つが間合いを詰めてきたGKにセーブされるなど、奮闘むなしくノーゴールに終わった。33歳のベテランDFチ・ユンナムのゴールによりブラジルと1-2の好ゲームを演じた北朝鮮だったが、44年ぶりの世界挑戦は得点1、失点12の3連敗で幕を閉じた。

<写真>敗退決定スタンドに手を振るコートジボワールFWドログバ
(文 吉田太郎)

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