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[MOM312]流通経済大柏MF高橋翔也(3年)_2戦3発!タレント軍団から飛び出した新戦力

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[9.12 全日本ユース選手権1次R第2戦 浦和ユース 1-1 流通経済大柏高 埼玉S3]

 総体出場ゼロのMFがV候補・浦和ユースゴールを突き破った。流通経済大柏高はこの日、圧倒的なポゼッションを見せる相手の前に持ち味のハイプレスが空転。追っては剥がされる場面の繰り返しで、ボールをほとんど触ることができないまま後半を迎えてしまう。カウンターから相手を脅かす場面を数回つくったものの、ゴールは遠く、得点の予感も感じられなかった。

 それでも0-0の後半30分にピッチへ送り出された背番号23、MF高橋翔也(3年)が劣勢の展開からチームを救う。投入4分後の34分、流経大柏はGK松澤香輝が右サイドへ大きなフィード。これをMF吉田眞紀人が頭で競り勝つとセカンドボールが浦和ユースDFの足に当たり、高橋の下へ転がる。これを前方のスペースへ持ち出した高橋が右足を思い切り振りぬくと、強烈な一撃がゴールネットへ突き刺さった。

 「1点が決勝点になると言われていた。自分が取ってやろうと思っていた」という高橋はベンチへ向かって一直線に走り出す。緊迫した展開の中でやり遂げた大仕事。後半ロスタイムに喫した失点により勝利こそ逃したが、ほとんどの時間帯でポゼッションされていた試合展開から考えると、この1点がもたらした意味はチームにとってやはり大きかった。

 昨年、公式戦で先発も経験していた高橋だが、今季のプリンスリーグ(U-18)関東1部では途中出場1試合のみで、チームが全国16強へ進出した総体は県大会を通して出場なし。本来は強烈なミドルシュートなどを武器とするSHだが、層の厚いチームのなかではポジションを獲得できず、SBやFWでも試された時期がある。
 出場機会に恵まれないまま秋を迎えていたが、「ガチガチで日本一厳しい」紅白戦、そして大学生との練習試合でアピール。滝川二との初戦でチャンスを与えられると、出番に飢えていたMFはいきなり2点を決めて自らの扉を開く。そしてこの日も途中出場の期待に応えて、信頼を完全に確立した。

 彗星のように現れた流経大柏の“ラッキーボーイ”。高橋の先制ゴールにより、引き分けたチームはBグループ首位を守った。目標は1次ラウンド、そして決勝トーナメントを勝ち抜いての「優勝」。今大会チームトップの3ゴールをたたき出している高橋は、自身が中学3年時の07年にFW大前元紀(現清水)らが成し遂げた高円宮杯日本一のために、その得点力で力になる。

<写真>先制ゴールを決め、進藤から祝福される流通経済大柏MF高橋(左)
(取材・文 吉田太郎)

連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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