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[MOM379]宇和島東FW有間潤(3年)_自覚と謙遜のエース!

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[高校サッカー・マン・オブb・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 遠野0-3宇和島東 西が丘]

 宇和島東(愛媛)の山本光生監督はチームの色をこう分析する。
「うちはヘタですから。体を張って粘って…ミスも多いけど無駄をかけずにシンプルに速く、というプレーを心がけています。あと、右と左にちがうタイプのサイドプレイヤーがいることも挙げられますかね」

 初戦の遠野(岩手)戦で勝利をたぐりよせるポイントとなったのは「サイド攻撃」だった。際立った選手がいないぶん、組織で勝負するには有効な戦略だ。
しかし、宇和島東には1人、求心力となれる選手がいる。
「サイド攻撃ばかりやっていたら読まれてしまいます。だから一度有間にボールをあずける。ボールを持ったらまず有間を見ることはチームの決まりごとです。で、彼が中央で持つことで、周囲のDFを引き付ける。そこでサイドに出して攻め込み、また有間に戻す、というパターンで相手DFを狭めたり広げたりして揺さぶるわけです」

 FW有間潤(3年)は全国高校総体では優秀選手に選ばれたエースだ。
 この試合でも前半だけでシュート6本を放ち、チームの貴重な2点目を挙げて存在感を見せ付けた。
「攻撃は特に指示などはなく、自分の好きにさせてもらっています。持ち味は一瞬のスピードと決定力ですね」
 こういう有間だが、じつは1,2年の間はまったくゴールが決まらなかったという。
「そのときはスランプなどがあったかもしれません。でも3年になってからはそういったものはないですね。最高学年になって、自分が引っ張らなきゃいけない意識が強くなったからかもしれません。今は耐えるべき時間に自分から声を出すようにしたりするようにもなりました」

 最終学年になって芽生えた自覚。しかしそれとは裏腹に、とても謙虚な考えも持ち合わせている。
「自分たちはうまくないですよ。足元の技術も全然ないですし。だからチームワークで、みんなで補っていくしか勝つ方法がないんです。全国で勝ってもその気持ちは変わらないです。関西遠征などに行ってもうちの個々のレベルは低いと感じるし、そのうえ練習時間は短いし…」
 毎日の練習時間は1時間40分から長くても2時間まで。19:00以降のチーム練習は禁止されているという(個人練習はOKらしい)。

 最終学年としての自覚と、全国の中の足りない自分という謙虚さと。
 この一見相反するメンタルを持つ有馬だからこそ、FWとして安定した仕事ができているともいえる。次の相手はサッカー王国の代表校が相手だが。
「相手は優勝候補ですし、こちらは失うものは何もないんで。でも僕たちの目標はベスト4ですから」
 憧れの選手はスペイン代表のビジャだという。彼のように決勝の舞台までチームを引っ張っていけるか。謙遜なのか不敵なのか。有間潤、次の試合も注目だ。

[写真]宇和島東FW有間潤(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文/伊藤亮)


【特設】高校選手権2010

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