beacon

[MOM419]滝川二FW浜口孝太(3年)_“決勝男”初Vへの2発

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.10 全国高校選手権決勝 久御山3-5滝川二 国立]

 1年間チームを引っ張ってきた主将が最後に大仕事をしてのけた。前半24分、“ダブル・ブルドーザー”と名づけられた2トップでコンビを組むFW樋口寛規(3年)が中盤左サイドから一発でPA内ファーサイドのMF本城信晴(3年)へロングパスを通す。これを本城が丁寧に頭で折り返すと、ゴールエリアで受けたFW浜口孝太主将(3年)が反転からの左足シュートで先制点をたたき出した。

 「体を(DFの前に)入れてからの反転シュートは得意なところ。トラップから全て完璧だった」

 この一撃が滝川二の攻撃陣に火をつけた。前半40分には樋口、後半9分には本城のゴールで3-0。12分には1点を返されるがここで再びゴールを決めたのが浜口主将だった。MF香川勇気(3年)が右サイドから出したスルーパスに鋭く反応。GKと1対1となるとGKの動きを冷静に見極めて右足ループシュートで再び久御山を突き放した。でん部と左足首に負傷を抱えながらのプレー。だが、強引な突破にポストプレー、自陣PA近くまで戻って守備する場面もあった。チームの先頭に立って戦った背番号11。そして夏の全国高校総体決勝で4ゴールを決め、全国総体決勝でもゴールを決めている“決勝男”は大舞台で再び2ゴールを決めてチームを日本一へ導いた。

 これで大会得点王に並ぶ7点目。後半ロスタイムに樋口が今大会8点目のゴールを決めて個人タイトルとの2冠達成はならなかったが、それでも普段から常にともに行動し、24.5cmという「小っちゃな」足のサイズまで同じという親友・樋口の得点王獲得を祝福。ゲキサカで滝川二主将コラムESPERANZA~を執筆している笑顔の主将は「最高っす。ホンマうれしい」と喜んだ。

 浜口主将は滝川二で変わった。中学時代はJクラブのヴィッセル神戸U-15に所属しレギュラーを務めていたが、元々サッカーでプロを目指していた訳ではないというFWはプレーに波があると判断されユースチームに昇格できず。滝川二に進学したものの、選手権を目指していた訳でもなく、入学当初は当然気持ちも入らず周囲に「オマエは目が死んでる。プレーも死んでる」と言われたというほどだった。頭の中は遊ぶことが大半を占めていた時期もある。ただ、「高校3年間はやらなくても時間が過ぎる、といわれて『それなら』とやる気が出た」という浜口主将は家族やコーチングスタッフらの励ましなどがあり前を向いてサッカーに取り組み、最終年に主将として滝川二の歴史を変えた。

 「みんなと一生懸命やってきた。最高の仲間とボール蹴って全国出ることが目標だったけど全国出てこんな形で終われて・・・・・・」と感激。試合後、国立競技場外に集まったサッカー部全員に感謝の「ありがとう」を伝えた主将は日本一のチームメートを前に誇らしげだった。

[写真]前半24分、滝川二FW浜口主将(右)が先制ゴール
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

TOP