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10人ドローでもブーイング…勝利求められるFC東京

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[5.4 東京V0-0F東京 味スタ]

 後半9分のことだった。FC東京ロベルト・セザーがこの日2度目の警告を受けて退場した。1人少ない状況でスコアは0-0、しかも時間はたっぷり残っている。セオリー的にはリスクを最小限にとどめて守りを固め、あわよくばカウンター攻撃を狙うというところだ。

 だが、F東京サポーターを飲み込んだアウェイゴール裏のボルテージは、11人で戦っていた前半以上に高くなっていった。大声援は東京ダービーを戦う選手たちを手前へ手前へと呼び寄せるかのような熱気を帯びていった。「ヴェルディにだけは負けられない」の歌は、試合終了まで続いた。選手もその声に呼応するように、ゴールを狙い続けた。

 だからこそ、0-0のまま試合が終了すると、スタンドからはブーイングが起きた。拍手でもまったく違和感のないシチュエーションであるにも関わらず、満足している者はいなかったのだ。

 「サポーターは引き分けではなく勝利を見に来ているのだからしょうがない。サポーターの理想が高いということだし、監督も開幕前は『全勝する』と言っていたのに勝てていない(1勝2分け1敗)。ただ、僕らの戦う姿勢は見せられたと思うので、ブーイングは結果に対してだと思う」。GK権田修一は納得込みの表情で言う。

 守備では4試合で失点わずか3。2試合連続無失点という部分は評価されていい。この日は前半、完全にヴェルディにペースを握られたが、それでも失点しなかった。それだけに、4試合でわずか1得点という数字の寂しさが浮き彫りになる。

 エースストライカーとして期待されていた平山相太が負傷で長期離脱。新しく加入した2人のブラジル人はまだまだフィットしておらず、得点力不足の理由はハッキリしているが、とにかく点を取らないことには勝利を手にすることはできない。

 「得点が取れないのは去年と似ているけど、去年の方がまだチャンスを作っていたと思う。今年はチャンスすら作れていない。J2の厳しさを感じている」と今野。圧倒的な強さでJ2戦線を突き進むはずの〝首都の雄〟が、シーズン序盤でいきなり苦境に立たされている。

[写真]ドローに落胆する選手たち

(取材・文 矢内由美子)

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