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F東京は今季初の連勝で4位浮上も、1得点のみで今野「2点目を絶対に取って欲しい」

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[6.19 J2第17節 F東京1-0徳島 味スタ]

 FC東京がホームで徳島を1-0で退け、今季初の連勝をつかんだ。順位も8位から一気に4位に浮上した。前半のロスタイム、右サイドからMF谷澤達也がクロスを入れると、ファーでFWロベルト・セザーが頭で折り返し、MF梶山陽平が体勢を崩しながらも右足で押し込んだ。

「ホームだったし、勝って連勝できて良かった。ゴールは、セザーが(自分を)見ててくれて、決められて良かった。届かないかなと思ったけど、当てることを意識した。追加点を取れれば良かったけど、勝つことができて良かった」

 1得点に満足しているわけではないが、梶山の表情には喜びと安堵が入り混じっていた。苦難の末の連勝だった。圧倒的な戦力を有し、開幕からダントツの優勝候補に挙げられながら、引いて守る“J2のサッカー”に苦戦。さらに平山相太や高松大樹が怪我で長期離脱した。新戦力のロベルト・セザーやペドロ・ジュニオールが調整不足や怪我で出遅れ、FWの枚数が足りなくなった。ペドロに至ってはすでに退団。この日も先発した本職FWはセザーだけで、ベンチには0だった。そんな中、梶山が自身リーグ戦最多タイの3点目を決めて勝利に導いた。

 だが、2点目を取れなかったことは、反省点として今後に生かさないといけない。そもそもFC東京は今季11試合を終え、2点以上取れた試合が5月28日の京都戦(4-1○)の1試合だけだ。失点はリーグ最小の8失点だが、得点は11で、首位の栃木とは8差ある。特にこの日は圧倒的にボールを支配し、徳島の2倍の14本のシュートを放っただけに、せめてもう1点は欲しかった。

 日本代表DF今野泰幸も「やりたいことができるようになっているけど、まだまだ完成度は低い。欲を言えば2点目を、いや2点目を絶対に取って欲しい。後ろの選手からしたら、取れると取れないでは集中の面で違う。このメンバーなら取れる。1-0で相手が前から来たので、こういうときこそチャンスだった」と攻撃陣に注文を付けた。

 得失点差の面だけで言っているわけではない。今野は「2点目を取って、もう少し楽に終わることができれば、次の試合への疲労度も違う」と、長いシーズンを戦い抜くうえでの肉体的および精神的疲労度の面で大きな差が出てくると指摘した。たしかにこの日の試合、FC東京はボールを支配していたが、両軍合わせて足をつらせたのは、守勢に回っていた徳島ではなく、FC東京のDF森重真人だった。何とか同点に追いつこうと必死だった徳島攻撃陣に対し、常に神経を研ぎ澄まして戦い抜いたことで疲労が増した。早い時間に2点目が取れていれば、ここまで疲弊はしなかったかもしれない。この蓄積が“先”に影響してくる。

「後ろから見てて、みんな工夫しているし、みんな意図しながらつなげている。うちは若い選手が多いけど、やれる実力は持っている。俺はそう信じてる。2点目3点目を取ってくれる攻撃陣だと信頼してる」と今野は仲間の能力を認め、だからこそ、もっとゴールが奪えると口にした。次節25日は敵地で水戸と対戦する。複数得点を奪って攻撃陣も守備陣も、すっきり快勝を狙う。

(取材・文 近藤安弘)

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