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柏が4試合ぶり完封、近藤「勝ち点6の価値がある」増嶋「日本人だけでも……」

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[7.9 J1第3節 柏1-0仙台 柏]

 前節C大阪戦に0-5の大敗を喫した柏レイソルだが、守備陣がショックから立ち直り、仙台を相手に4試合ぶりの無失点を記録した。粘り強い守備が今季いまだない連敗を防ぎ、劇的ロスタイム弾を生んだ。DF近藤直也は「上位対決は勝ち点6の価値がある。しっかり勝って突き放せた」と笑顔を見せた。

 この日は司令塔のレアンドロ・ドミンゲスが出場停止で、守備に難があるDFジョルジ・ワグネルがベンチスタートだった。メンバーも代わり、システムも並びこそ4-4-2だったが、中盤はいつものボックス型からフラットに近い形に変えた。これまでは2列目の攻撃的MFが中に入り、相手のサイドバックを自由にプレーさせることが多かったが、システムを変えたことで、サイドの守備が強固になった。

 近藤は「試合前のミーティングで決まった。フラットになって、マークがはっきりした。ちょっと不安はあったけど、マークがはっきりしてやりやすかった」と“効果アリ”を説明した。CBでコンビを組む増嶋竜也も「守備からしっかり入ろうと話し合った。(フラットは)勝ってたころのやり方。自信をもってやれた」と笑顔を見せた。前節の5失点の悪夢を払拭したいという気持ちと、もう一つの“ある思い”が近藤や増嶋らイレブンを奮い立たせた。

「日本人選手だけでも、できるところを見せたかった。前回、日本人だけで戦ったときに、0-4で敗れてるというのを記事で読んだんで。一昨年のFC東京戦ですかね。外国人選手がいなくて、勝てなかったと言われたくなかった」と増嶋が仲間の思いを代弁した。この日、先発ピッチに立ったのは日本人選手だけで、これは2009年10月17日のF東京戦以来。このときは0-4の完敗。それだけに、選手は気合が入っていた。

 この日、ジョルジ・ワグネルに代わって左SBで先発した橋本和は「ジョルジという百戦錬磨の選手が控えてくれたんで、前半から仕掛けようと思った。やりきって終われればと思っていた。(ジヨルジと違って)日本人なんで、声を出して盛り上げようと思っていた」と気合が入っていたことを明かした。

 くしくも決勝弾を決めたMF澤昌克はレアンドロの代役として出場した。助っ人なしでも勝てるというレギュラー選手の意地、代わって入った選手たちの気合など、様々な気持ちがプラスに働いて劇的勝利をつかんだ。

「お互い固い試合展開で、我慢できたから、最後、ああいう形で点が生まれたと思う。前節5失点を食らって、みんな何とかしなきゃと思っていた。最後の最後、ああいう形で点が取れたのは、この試合にかける気持ちだと思う。相手も気持ちがあったと思うけど、うちらの方が強かったのかな」

 攻守の要を務めるMF栗澤僚一は胸を張った。これで3試合ぶりのホーム戦勝利で、4試合ぶりの完封勝ちだ。助っ人が先発しなかった中で成し遂げたのは、大きな自信となる。今季リーグ戦4敗しているが、連敗がないのは柏が首位を走る所以だろう。この日は“日本人選手だけでもできるんだ”という執念が実り、完封勝利につながった。勢いはまだまだ続きそうな気配だ。

(取材・文 近藤安弘)

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