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2戦少ないG大阪が4位、宇佐美が絶賛した同点弾の中澤「隠れ首位? バレないでいきたい」

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[7.10 J1第3節 大宮2-3G大阪 NACK]

 優勝候補が“定位置”に帰ってきた。ガンバ大阪がじわじわと順位を上げている。この日、大宮を敵地で3-2で下し、勝ち点を26に伸ばして4位に浮上した。開幕当初は出遅れたが、最近5試合を4勝1分と好調。実はACLの関係などで2試合消化が少ない中、この順位に付けている。

 この日は前半5分に先制したが、日本代表MF遠藤保仁が「攻撃的に行って、取られてもまだ同点という気持ちでやるのか、(守りを重視しながら)チャンスをうかがいながらというのと、どっちを取るかだけど、今日はちょっと曖昧なところがあった」と明かした通り、その後はボールの取りどころや試合運びの面で、少しスムーズにいかなかった。

 そんな中、徐々に大宮にリズムを奪われ、前半45分には同点とされ、後半14分には逆転された。しかし、G大阪の“攻撃サッカー”は負の流れを簡単に覆す力があった。

 後半30分、右サイドのクロスからMF宇佐美貴史がヘディングシュート。相手DFに当たったところを、何とDF中澤聡太が頭で押し込んだ。「よく覚えてないんです。我慢できずに行った。勝手に行っていた感じです。よく行ったなと自分でも思います」。

 本人が困惑したように、攻撃参加するタイミングではなかった。もちろん、セットプレーで残っていたわけでもない。中澤は常々、「うちは1-0のサッカーじゃない。2-0とか3-0、4-2でもいい」とCBながら『得点第一』を口にしているが、それを実践してみせた。攻撃サッカーのDNAがCBにも染み付いている。

 これでチームが勢いづいた。CBが取ったことで、前線の選手に火がついた。宇佐美も「ソウタくんが最終ラインから上がっていたこと。そいういうソウタくんのメンタルというか、あれで一気にチームが勢いづいたし、相手にもダメージを与えられたゴール」と証言する。このゴールの2分後、MFキム・スンヨンがカウンターから逆転弾を奪った。

 キムはリーグ戦初ゴール。本来はMFだが、この日はFWで起用され、指揮官の期待に応えてみせた。「このチームでは、ポジションを与えられる限り、できないというのはいけない。どこでもできるのが僕の長所。監督と居残りでシュート練習をしたおかげだと思う」と笑顔を見せた。

 まだ未消化の2試合を、白星と仮定すると勝ち点は32で、首位・柏の31を上回る。いわば“隠れ首位”ともいえる状態だ。中澤は「隠れ首位? これでバレちゃいませんか? このままバレないでいきたいですね(笑)」と冗談を言いつつも、「全員の集中力が高い。90分トータルでは良くないけど、我慢してやれている。もう少し圧倒できるようになりたい」と課題も口にした。

 遠藤も勝ち点3を喜びつつ、「逆転するにはパワーがいるし、夏場は(きょうのような展開は)避けたいですね。できれば失点せずに自分たちのリズムで90分間、有利に試合を進められるようにしたい」と勝って兜の緒を締めた。得点王のFWアドリアーノが中東に移籍し、まもなく宇佐美がドイツに渡るが、G大阪にはキムや中澤ら攻守に頼もしい選手がそろう。このまま一気に首位をうかがう。

(取材・文 近藤安弘)

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