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ラストマッチで全得点に絡んだ宇佐美「ガンバで育った誇りを胸に、欧州で活躍したい」

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[7.13 J1第4節 G大阪3-2神戸 万博]

 何度も何度も同じ言葉を繰り返した。「ガンバで育った自分が活躍すれば、欧州でガンバの評価も上がると思う。ガンバのすべてを背負って頑張っていきたい」。中学1年から過ごしてきたガンバ大阪へ感謝の思いでいっぱいだった。バイエルン(ドイツ)移籍の決まったMF宇佐美貴史にとって、ラストマッチとなった神戸戦。先制点を演出すると、自らゴールも決めて、最後はFWイ・グノのゴールをお膳立て。全得点に絡む活躍で、最終戦を見事な勝利で飾った。

 試合後に行われたセレモニーでは、育ててもらったクラブへ感謝の思いを語った。

「中1からガンバに入って、今の自分のすべてをこのクラブにつくってもらったと思います。プロになってからも、たくさんの温かいサポートを受けながら、ここまで歩いてきたし、そういう人たちに感謝の気持ちを持って、これからも歩いていきたいと思います。これからもガンバで育った誇りを胸にヨーロッパでも活躍して、ガンバで育った自分が活躍すれば、自然とガンバにも注目がいくと思うし。そういうプレーをして、それが一つの恩返しになるように、努力を続けていきたいと思います」

 挨拶が終わると、両親と入籍したばかりの新妻・田井中蘭さんから花束が贈呈され、記念撮影を行った。そして、多くのサポーターが駆けつけた場内を一周。試合後も涙一つ見せることなく、終始笑顔だった宇佐美だったが、止まることのない「宇佐美貴史」のコールを背に、場内を一周すると溢れる涙を抑えることはできなかった。慣れ親しんだ青と黒のユニフォームに身を包むのもこの日が最後。スタンドのサポーターから渡される花束や手紙を手にしながら、涙をぬぐった。

 そして、ゴール裏のサポーターの前でトラメガを手にして再び挨拶。「今季は得点数も取れていないですし、最初の時期はコンディションもなかなか上がらず、個人的に苦しかったですけど……自分が点を取ったときは自分の応援歌を歌ってくれて。それが本当に自分にとって、大きいエネルギーになりました」

 G大阪での思い出が走馬灯のように駆け巡ったのか、宇佐美は再び涙を流した。これに対して、サポーターからは「頑張れ!」の声。ハニかんだ笑顔をみせると「ガンバのすべてを背負って、ヨーロッパで頑張ってきたい」と力を込めた。

 挨拶も終わり、ゴール裏をあとにしようとしたが、サポーターから「お前のために買ってきたんや!」とピッチへ梯子が入れられた。そして最後は一緒になってゴール裏へ入り、再び「宇佐美貴史コール」。サポーターとG大阪での最後の瞬間をともにした。

 試合後のテレビインタビューでは「正直すごく寂しい気持ちと、もっとずっとガンバでやっていきたいという気持ちもあるんですけど。自分にも夢があって、サッカー選手はそれに向かっていかないといけないと思うので、こういう決断をしたんですけど」と、悩める胸の内も話した。大阪の至宝から世界の至宝へ。夢を叶えるため、宇佐美の欧州挑戦が始まる。

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