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[総体]「より上へ」初出場の帝京大可児が全国リーグ出場校破る!!

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平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技(秋田)
[7・28 全国高校総体1回戦 帝京大可児2-1富山一 八橋運動公園球技場]

 初出場の帝京大可児(岐阜)が23回目出場の名門を撃破した。平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技が秋田県内で開幕。秋田市の八橋運動公園球技場で行われた帝京大可児と富山一(富山)の一戦はFW渡辺拓磨(3年)の決勝ゴールにより、帝京大可児が2-1で逆転勝ち。初出場初勝利を挙げた。

 中高一貫指導で強化を進め、選手権で2度の全国大会を経験している帝京大可児だが、総体は今回が初出場。一方で対戦相手の富山一は高校年代の全国リーグ、プレミアリーグウエストで3勝を挙げている強豪だ。MF三島栄高主将(3年)やFW川村健人(3年)ら年末に出場した選手権のレギュラー5名を残す帝京大可児だったが、序盤は相手のプレッシャーに飲み込まれてしまった。三島栄の右足ミドルがクロスバーを叩いた直後の前半7分、警戒していた縦の攻撃からDFラインを破られると、富山一FW中西勝哉(2年)に先制ゴールを決められてしまった。

 素早く前線にボールをつけてFW石黒寛人(3年)のドリブル突破や、中盤から飛び出してくる選手の対応にやや苦戦した帝京大可児はなかなかリズムに乗ることができない。ただ、「先制点を取られたことで逆に落ち着いたと思います」と仲井正剛監督が振り返ったように、硬さの取れていったチームは10番・三島栄とU-16日本代表MF三島頌平(1年)の兄弟ホットラインによるゲームメイクと、怪我明けで万全ではないながらも豪快なドリブルでファウルを誘う川村の奮闘などで徐々に本来のサッカーを取り戻す。バイタルエリアを突く三島栄とMF今井崇太がチャンスに絡み、プレッシャーをかけると後半12分、富山一のCB奥野侑悟(3年)が遅延行為を犯し2枚目の警告で退場。富山一を支えていたDF山崎海(3年)との2CBの一角が崩れると、試合の流れは完全に帝京可児へ傾いた。

 迎えた21分、富山一はGKのクリアボールがDFに当たり痛恨のオウンゴール。これで精神的にも楽になった帝京大可児は28分、三島栄の右CKがファーサイドのCB伊藤哲太(3年)を経由して渡辺の下へ転がる。「シュートしか考えてなかった」という渡辺が右足を振りぬくと、素晴らしい軌道を描いたシュートはゴール右隅へ突き刺さった。「1点取られても逆転しようという気持ちが強かった。実際に勝つことができて本当に大きな1勝」とヒーローは会心の笑み。指揮官が「今まで全国に出た中で一番力があると思う。ここでたくさん、ひとつでも多く試合をして多くのもの得させてあげたい」と説明するチームは、終盤アタッカーを並べてゴールをもぎ取りにきた強豪を振り切り、大きな白星を得た。

 今までのチームとは意識が違う。年末の全国高校選手権では初戦で立正大淞南に1-2で惜敗。苦しんで全国切符を勝ち取った3年生たちは笑顔で2年生たちに感謝の言葉をかけたが、泣きじゃくる三島栄ら2年生たちは悔しさしかなかったという。「自分たちは全国に出ることが目標ではなくて、全国で結果を残したかった。だから全国を決めたことに達成感もなかったし、負けて納得できなかった。今年はどんな相手でも自分たちのストロングポイントを出して自分たちのリズムで楽しくサッカーがしたい。今回の目標はベスト4。『より上へ』と言うことを考えています」と三島栄。この日は相手の退場とオウンゴールに救われる泥臭い戦いだったが「どんな形でも勝とう」という仲井監督からの期待に応えた。2回戦の対戦相手は同じく初出場のかえつ有明(東京)。『より上へ』と意気込む帝京大可児が、どんな形でも3回戦へ勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)

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