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“新切り札”清武、今度は決勝アシスト

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[9・2 W杯アジア3次予選 日本1-0北朝鮮 埼玉]
 
 デビュー戦で2アシストを記録した8月の日韓戦に続き、21歳の若き“切り札”FW清武弘嗣が再びザックジャパンにゴールをもたらした。後半ロスタイムの劇的な一撃を演出して埼玉スタジアムに詰め掛けた5万人超のサポーターを沸かせた影のヒーロー。ただ「ゴールにこだわっていた」男に試合後笑顔はなかった。「決められなかったことは自分の実力不足。ゴールを決められないでいると苦しくなる。次は決めたい」と清武の口から浮かれた言葉は出てこなかった。

 圧倒的にボールを支配しながら1点が取れない重苦しい展開。ただ後半15分に投入された清武がゴールの予感を高めていた。まずは18分、PA外でクリアボールに反応すると強烈な左足シュート。ゴールを捉えた一撃は相手DFのスーパークリアに阻まれたものの、攻めあぐねていたチームに火をつけると、19分にはMF香川真司のヒールパスに反応して右足シュートを打ち込む。そして自らもゴールを狙い続けた後半ロスタイム、アシストという形であったが、チームの勝利に貢献した。

 右ショートコーナーをMF長谷部誠を預けて再びボールを受けると「密集に蹴っておけば何か起こると思った」と中央へ正確なクロスボール。これがCB吉田麻也の決勝ヘッドを呼び込んだ。

 本人は不本意な無得点も、21歳のアタッカーはW杯予選初戦でアルベルト・ザッケローニ監督から最初の交代カードとして起用され、“切り札”としてしっかりと期待に応えている。韓国とのデビュー戦では後半開始から出場し、その8分後にゴール前でのワンタッチパスでFW本田圭佑のゴールをアシスト。その直後には右サイドのスペースを突いてからのラストパスで香川のゴールを演出した。そして「日韓戦よりも緊張しなかった」という2戦目にも鮮烈なデビュー戦に続く、決勝アシストでその存在感を高めたのは間違いない。

「崩せてもしっかりと決めないといけない。一つひとつのことをしっかりとやらないと苦しい試合になる」。W杯予選の厳しさも知った男は4日後のウズベキスタン戦でこの日の反省を活かし、初戦以上の活躍でチームを再び勝利へ導く。

(取材・文 吉田太郎)

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