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トップ下で先発の柏木「勝ってホッとした」

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[9.2 W杯アジア3次予選 日本1-0北朝鮮 埼玉]

 サバサバした口調だった。

「何もできなかった。メッチャ悪かったかとは思わないけど、良かったかというとそうではない」

 アジア杯のサウジアラビア戦に続き、トップ下で先発したMF柏木陽介(浦和)は、0-0の後半15分までプレーし、清武弘嗣と交代でベンチに下がった。トップ下というポジションを考えれば得点に絡めなかったことは「悔しい限り」。ただ、最後の最後に吉田麻也のゴールで勝ち点3を手にしたことで、多少はモヤモヤが薄らいだ。

「麻也が決めてくれて良かった。ホッとした。アジア杯の初戦も麻也が決めてくれたしね。今日はチームとして勝てたことが一番うれしい」。そう言って汗をぬぐった。

 守備ブロックを固める北朝鮮を攻めあぐねた。「思った以上に狭くてスペースがなく、裏に抜けるスペースもなかった」。その中で何とか突破の糸口を見いだそうとした。

「(香川)真司たちには『俺はホンディーみたいなことはできない。タメをつくれへんと思う。けど、みんなに合わせて動こうと思う』と言っていた。コンビネーションの部分は自信があった」

 前半32分には一瞬だけできた相手DFの裏を突き、ロングパスを送り、李忠成のヘディンシュートにつなげた。ゴール前で香川真司や岡崎慎司と細かくパス交換してチャンスをつくった場面もあった。前半24分、前半46分にはシュートも放った。得意の左ではなく右足シュートだったのは不運だったが、CKもFKも任され、精度の高いボールを供給した。

 所属の浦和でボランチとしてプレーしていることで、トップ下で前を向くプレー勘が失われていたのは否めないが、「(香川)真司はあそこでターンして前を向くのがうまい。トップ下でターンしてすぐにスルーパスを出すことができるようになならいと」と刺激を受けたようだ。

「すぐにウズベキスタン戦がある。今日は結束力で勝ったと思う。向こうでのウズベキ戦(09年6月)は難しかったとみんな言っているし、また一丸となってやっていきたい」

 ほろ苦さはあるものの、収穫もあったという表情の柏木。「自分の足りないところが分かった。もっと成長していきたい」と前を見据えた。

(取材・文 矢内由美子)

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