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10人の柏が鹿島を撃破! カシマスタジアム7年ぶり白星で首位G大阪にプレッシャー

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[10.2 J1第28節 鹿島0-1柏 カシマ]
 J1第28節の第2日が2日に各地で行われ、県立カシマサッカースタジアムでは前節6位の鹿島アントラーズと同3位の柏レイソルが対戦した。柏は、カシマスタジアムで過去公式戦に1勝2分10敗、リーグ戦に限ると11戦末勝利(2分9敗)と“鬼門”にしていたうえ、前半42分にDFパク・ドンヒョクが退場と一人少ない状況となったが、前半31分のFW工藤壮人のゴールを守り切り、1-0で勝利した。カシマスタジアムでは2004年のナビスコ杯以来、7年ぶりの白星となった。
 17時4分からは首位のG大阪が浦和と対戦するが、柏はプレッシャーをかけることに成功した。対する鹿島は10人の相手に痛い11試合ぶりの黒星を喫した。最近で見ても3分1敗と4試合連続で白星から見放され、ACL出場権争いでさらに後退した。
 鹿島は前節の浦和戦からFW大迫勇也に代わりFW興梠慎三が2試合ぶりに先発。システムは4-4-2でGKは曽ヶ端準、DFラインは右から西大伍、岩政大樹、中田浩二、アレックス。ダブルボランチは増田誓志と青木剛が組み、2列目は右に野沢拓也、左に遠藤康が入った。2トップは興梠と田代有三が組んだ。
 対する柏は今季公式戦全試合に先発中だったボランチの栗澤僚一がベンチを外れた。システムは4-4-2でGKは菅野孝憲、DFラインは右から酒井宏樹、パク・ドンヒョク、増嶋竜也、橋本和。ダブルボランチは大谷秀和と茨田陽生が組み、2列目は右にレアンドロ・ドミンゲス、左にジョルジ・ワグネルが入った。2トップは工藤壮人と田中順也が組んだ。
 鹿島にとってはACL出場権を、柏にとっては優勝争いをする上で負けられない一戦だった。共に中盤の守備が堅いこともあり、立ち上がりは潰し合いが続く。最初のチャンスは柏。前半11分にカウンターから工藤が仕掛け、PA右でパスを受けた田中が切れ込んで左足を一閃。しかし、これは鹿島守備陣にブロックされた。
 鹿島は野沢と遠藤の両サイドを起点に攻撃を組み立てようとしたが、なかなかうまくいかない。前半22分、アレックスの左クロスに中央で田代がヘディングで合わせたが、これはマークが厳しく枠を外した。その後、共にしっかりとプレスをかけ続けたため一進一退の攻防が続いたが、前半31分にアウェーの柏が先制ゴールを決めた。
 中盤でボールを奪いカウンターを展開。司令塔のレアンドロ・ドミンゲスがドリブルでボールを運びスルーパス。これに快足FWの工藤壮人がDFラインの裏を取り、ワントラップから右足でシュート。これまでリーグ戦では11戦未勝利のカシマスタジアムで貴重な先制点を奪った。
 しかし、柏に悪夢が襲う。前半42分、柏にとっての右サイドのタッチライン際で、CBのパク・ドンヒョクが鹿島選手を後ろからチャージして倒してしまい、イエローカードを受けた。パクは同12分にもイエローカードを受けており、2枚目で退場となってしまった。
 柏ベンチはすぐさま動き、前半44分に田中に代えて北朝鮮代表MF安英学を投入。安と増嶋でCBで組ませて4-4-1の陣形にシフトし、1トップには工藤を据えた。一人少ない苦しい状況となったが、前半はそのまま柏が1-0で折り返すことに成功した。
 後半、鹿島は遠藤に代えてFW大迫勇也を投入した。田代を中央に、左に大迫、右に興梠と3トップ気味に変更。トップ下には野沢が構えた。開始2分、野沢がシュートを放ったが、これはGK菅野にセーブされた。同4分には左サイドで大迫、アレックスとつなぎ、PA内中央の田代へ。田代は反転してシュートに行けなくもなかったが、大迫にスルーパス。しかし連携が合わず通らなかった。
 鹿島は圧倒的にボールを支配するが、なかなか決定機を作れない。後半12分には青木に代えて元日本代表MF小笠原満男を送り出した。小笠原の投入で、鹿島はますます攻撃にスイッチが入る。そして同14分、絶好機を迎えた。右サイドから中へ、興梠がドリブル突進。PA右の野沢にラストパスを送った。野沢はGK菅野との1対1からシュートを放ったが、ファインセーブに阻まれた。
 その後も、鹿島が圧倒的に攻め込むが、4-4のブロックを作って引いて守る柏の守備網を崩せない。中から、外からといろんな策を試みるが、バイタルエリアを崩すのに苦労した。鹿島は後半31分、最後の交代のカードを切る。ただ攻撃の選手ではなく、右SBの西に代えてDF新井場徹を投入し、そのまま右SBに据えた。
 一人少ない状況で守備一辺倒になっていた柏は、後半32分に2枚目の交代カードを切った。工藤に代えてFW林陵平を送り出した。その2分後、柏は最後の交代枠を使う。大谷に代えてDF中島崇典を投入。そのままボランチに入れ、中盤の運動量を増やした。
 鹿島はサイドからのクロスと得意のセットプレーでゴールをこじ開けようとするが、うまくいかない。後半35分、跳ね返されたボールを増田がボレーで狙ったが、柏守備陣にブロックされた。同39分、鹿島は立て続けにチャンスを作ったが、決めきれなかった。
 右からの浮き球パスをPA内左で中田が左足シュートを放ったが、増嶋の捨て身のスライディングにあう。これで得た左CKで、野沢のキックに岩政が飛び込むが、ヘディングシュートは枠を外れた。柏は林を前に残して全員で引いて懸命の守備を披露。攻め込まれながらもゴール前で踏ん張りを見せた。
 ロスタイムは4分。鹿島は総攻撃を仕掛けるが、うまくいかない。後半47分、柏がカウンター。前かがりの鹿島DFラインをレアンドロがドリブルで仕掛けて突破しシュート。しかし、これはGK曽ヶ端にセーブされた。さらに同49分、カウンターから橋本が突破しPA内で左足でシュート。だが、これも曽ヶ端に弾かれた。直後に試合終了のホイッスル。柏がリーグ戦では初めてカシマスタジアムで白星をつかんだ。
[写真]前半31分、FW工藤壮人が先制点を決める
(取材・文 近藤安弘)

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