高円宮杯U-18サッカーリーグチャンピオンシップ
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.17 高円宮杯サッカーリーグチャンピオンシップ 札幌U-18 1-3広島ユース 埼玉]

　MVPに選出された2年生MFはヒーローインタビューの途中から涙が止まらなかった。“泣きキャラ”ではないという本人も「こんなに泣くなんてビックリした」という涙、涙、涙。ただ「3年生のために勝ちたかった。(涙は)いろいろな思いが出てきた」と素直に喜びを表現していた。

　U-18日本代表でトップチーム昇格有力候補となっているサンフレッチェ広島ユースMF野津田岳人。“天才的”な感覚と高い技術でチームをコントロールするレフティーは、トップ下の位置からディフェンスライン近くにまで下りてきてボールをさばき、相手の逆を取って前進していく巧さも備える。だが、この日はよりゴール近くでのプレー。前半6分には左クロスからダイビングヘッドでゴールを襲うと、15分にはFW越智大和のポストプレーから左足シュートへ持ち込など立ち上がりから果敢にゴールを狙い続ける。

「自分でガンガン行くヤツ。前向けるのがヤツの良さ。ゴールに向かって行く気持ちがゴールにつながった」と森山佳郎監督も評したが、そのPAでの強さが値千金のゴールをもたらした。0-0の後半4分、野津田は右MF森保圭悟がPAへ入れたボールをDFを背にPAでコントロールして、中央へつなぐとアフター気味にファウルを受けてPKを獲得。これを自ら左足でゴール右へと叩き込んで先制ゴールを奪った。

　野津田はさらに6分にもファーサイドへ走り込んだDF藤井貴之の足元へドンピシャの右CKを通して2点目をアシスト。前線からの守備でも大きく貢献するなど、堂々の活躍でMVPを獲得した男は「MVPは考えていなかった。めっちゃうれしい」。

　来年は、1年生だった昨年、そして今年と高円宮杯を連覇したチームとともに3連覇を目指すことになる。エースは「来年は来年。チャレンジャーとしてやる」。先輩達のために、という強い思いで優勝した今年。来年は自分達の世代のために連覇を果たして再び歓喜の涙を流す。

(取材・文　吉田太郎)