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[クラブW杯]大会初先発の北嶋、サントス戦のリベンジならず。「紙一重の技術だった」

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[12.18 クラブW杯3位決定戦 柏0-0(PK3-5)アルサッド 横浜]

 背番号「9」は何度も頭を抱えた。クロスにスルーパスに、確かにチャンスはあった。ほんのちょっとのところでゴールが奪えず、0-0のままPK戦で敗退。今大会初先発を果たした柏レイソルもFW北嶋秀朗は「この大会を通じて、決定力がものすごく課題だと思った。個人の課題としてものすごくそれを感じた。シュートまでの動きはいい? この大会通して、得点感覚は通用している。でも最後、決める力というのは別物。そこを突き詰めるために練習していかないといけない」と吐露した。

 リベンジに燃えていた。1-3で敗れたサントス戦で、後半開始から途中出場。何度かチャンスを迎えたが、決めきれなかった。ポストプレーやゴールに向かうプレーは、世界相手でも通用すると自信を深めたが、『決定力』という永遠の課題に改めてぶち当たった。サントス戦でつかんだ“世界の感覚”を発揮してゴールをこじ開けようと燃えていた中、3位決定戦のアルサッド戦で今大会初先発。しかし、再び『決定力』という壁に直面してしまった。

 シュート数はアルサッドの6本の3倍以上の19本を放った。そのうち北嶋は4本を放ち、2度の決定的な場面を迎えた。前半39分、CKのチャンスでニアに入ってうまく頭を合わせた。決まったかに思われたが、GKの好セーブに阻まれた。「もうちょっと強く当てないといけなかった」。

 後半17分には、左クロスをゴール前で得意の胸トラップでおさめ、GKと1対1になったが、シュートはブロックされた。「トラップが少し大きくなった。もう少し足元におさめて、出てきたGKの上を浮かせようと思った」。どちらの場面も、シュートに行くまでの一連の流れは良かった。「あとはゴールの中にどう入れるか。紙一重の技術だった」と北嶋はうつむいた。

 2000年に日本代表に選ばれ、国際Aマッチ3試合を経験。02-03年には清水の一員として、現行の大会とは少し違う形式だが、AFCチャンピオンズリーグを経験している北嶋。今大会はそれ以来となる国際大会だった。33歳で迎えた世界一を決めるFIFAの大会。結果は4位だったが、サッカー人生で大きな財産をつかんだ。

 北嶋は「寂しいですね。この大会はすごく充実していたし、日に日に成長しているのを感じた。各国のサッカーを経験したけど、各国で色がある。それは面白いなと思った。それが体験できるのは、この大会しかない。終わってしまうんだなという感じ」と明かした。そして「手応えをつかんだ部分はたくさんある。それを大切にしていきたい。決定力というものに、より強い思いを抱くようになった」と経験を生かしてさらに成長することを誓った。

「今日負けたことで、より、天皇杯のタイトルというものに思いが強くなった。天皇杯のタイトルを獲りたい」。帰り際、北嶋は力強く言い切った。11日間で4試合というハードなスケジュールだったクラブW杯はこれで終わったが、21日には天皇杯4回戦・名古屋戦(瑞穂陸)が待っている。北嶋は結果に一喜一憂しすぎず天皇杯制覇、そして来年のACLやJリーグ連覇に向けて前進する。

(取材・文 近藤安弘)

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