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[選手権]我慢の前半乗り越え後半2発!粘り強さ見せた矢板中央が16強へ

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[1.2 全国高校選手権2回戦 矢板中央2-0高川学園 NACK]

 第90回全国高校サッカー選手権大会は大会3日目を迎え、2回戦16試合が行われた。埼玉県のNACK5スタジアム大宮で行われた第1試合では2年ぶり4回目の出場となる矢板中央(栃木)と4年ぶり21回目の出場となる高川学園(山口)が対戦。試合は前半から拮抗した好勝負になったが、矢板中央が後半2ゴールを挙げて2-0で勝利した。矢板中央は3日の3回戦で國學院久我山(東京B)と戦う。

 前半、矢板中央は立ち上がりこそ前線の4人が高川学園のDFラインの前のスペースをうまく使ってシュートチャンスに持ち込んだが、高川学園が前線の選手の対処に慣れてくるとなかなかチャンスを作れなくなった。高川学園は3分、矢板中央GK斉藤夕希也(3年)のキックミスを拾ったFW田尻和樹(3年)がシュートを放つ決定機があったが、惜しくもゴールは枠を外れ、その後は大きいチャンスを作れなかった。前半は双方シュート1本ずつと決定機も少なく、0-0で終了。矢板中央高橋健二監督は思うように行かなかった前半を受けて「高川はポゼッションをしてくるという分析をしていたが、ロングボールを蹴ってきて、最初、選手たちが戸惑って間延びして危ない場面があった。ハーフタイムに修正して前線にボールをフィードしてきた時にコンパクトにすること、両サイドハーフを少し上げて縦を切ってロングボールを蹴らせないこと、全員がセカンドボールをしっかり取らせることを心掛けさせた」と、修正をして後半に臨んだ。

 後半は立ち上がりから互いに積極的に攻め合う展開となったが、先に決定機を生かしたのは矢板中央だった。7分、MF福澤邦人(3年)のFKに、相手DFと競り勝ったボランチ田畑喜行(3年)がヘディングで合わると、シュートは高川学園GK稲男良太(3年)の手を弾きゴールネットに吸い込まれて矢板中央が先制した。高橋監督はこの得点を振り返り「ウチはセットプレーが特長の一つ。良い時間に決められた。田畑が取るとは思わなかったが、長身FWの石井涼斗(3年)や菊地夏輝(3年)に相手の意識があった時に田畑がニアに飛び込んできて良い相乗効果だった」と長身FW2人をおとりにしてゴールを決めた田畑を誉め讃えた。

 勢いに乗った矢板中央は23分、左SB吉澤功三郎(3年)が相手守備陣をドリブルで抜き去ってクロス。クロスを受けた菊地が相手GKの手をかすめながらもシュートを決めて2点差とした。高川学園は懸命の反撃を試みたが、最後までゴールを奪うことができず、2-0で矢板中央が勝利した。

 矢板中央の高橋監督は「初戦だったので、本来の自分たちのサッカーができなくて硬いゲームになった。特に前半。ハーフタイムになってから『ここまで何もしないで帰るのは応援してくれた人たちの思いもあるから自分たちのサッカーをやろう』と後半送り出したら、良い展開ができてそれが後半の2得点に繋がった」と試合を振り返った。そして「勝因は前半の悪い時間に失点しなかったこと。また県大会でPKを2度やって勝ってきているので、僅差に持ち込めれば我々のパターンになると思っていた」と今シーズンのチームの粘り強さに自信を見せた。

 心配なのは試合終盤に接触プレーによる負傷で交代した石井の状態だ。「石井は膝をだいぶ傷めたので、どうなるか分からない」と高橋監督は試合直後、3日の3回戦でプレーできるかどうかを心配していた。「うちは西のチームに勝率が良いが、関東勢に弱いところがある。身近なチームなのでイメージが付いてしまっている。久我山のポゼッションサッカーにどれだけ対応できるか、挑戦者の思いでぶつかりたい」と3回戦への意気込みを語る高橋監督。石井の負傷の具合は気になるが、持ち前の粘り強さで國學院久我山戦に臨みたい。

 高川学園は前半ロングボールが機能し、矢板中央の中盤を間延びさせることができたが、後半はロングボールへの対策を立てられ、失点後は思うようにチャンスを作れなかった。

(写真提供『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 小林健志)

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