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今季初ゴールの湘南MF・高山「持ち味を出せている」

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[4.15 J2第8節 湘南3-2横浜FC BMWス]

 今シーズンの湘南ベルマーレは、複数の選手がポジションをコンバートされている。この日、先制点を挙げたFW馬場賢治はもともと中盤の選手。昨季J1の神戸でもボランチで起用されていた。また、この日2点目を挙げた左WB高山薫も、ルーキーイヤーの昨シーズンはFWとして、チーム最多の9得点を挙げている。

 なぜ、彼らはポジションを代えることを受け入れることができたのか。高山は「意外とすんなり受け入れられました。自分のキャラクターですかね。『オレは前でしかプレーしない』というキャラクターではないし、持ち味の『頑張る』ということを出せるポジションを与えられているので」と言う。

 今シーズン神戸から2年ぶりに湘南に戻った馬場も、指揮官の要求に応じた一人だ。「湘南にいた2年前もFWをやりましたが、僕に任せるということは、任せた人も僕が特別に高さや速さがある選手ではないとわかっている。むしろ『ヘッドで勝て』とか『スピードで裏に抜けてボールを受けろ』と言われても『無理です』って言える自信がある(笑)。FWらしくないといえば、FWらしくないかもしれませんけどね。やってきたポジションとは違うけど、特徴を生かしながらできている」と言う。求められていることが、自身の能力の範疇であるから、違和感なくプレーできているのだ。

 この日の高山のゴールのように、以前のポジションで培ったプレーが生きることもある。高山自身は「まさか今季初ゴールがヘディングとは、思いませんでした。入った瞬間はゴールになったのか分からなかったのですが、スタンドが沸いていたから喜びました」と笑うが、右サイドからのクロスに対し、元FWらしい見事なヘディングシュートを決めた。

 馬場は「賢い選手が多いと思う」と言う。他のポジションを経験している選手が多いため、お互いに何を求めているか、どういう動きをすれば効果的かを考えながらプレーできているというのだ。同時に、新たなポジションでの楽しみも見つけている。

「細かいことですが、相手を背負ってのボールキープとか、こうすればできるなっていう発見がありますよね。以前は踏み込めなかったところに踏み込む勇気を持てているし、日々、学んでいますね。今日のCKからのゴールにしても、あんなの取ったことありません。昔は狙おうとも思わなかったけど、今は狙っている。どこに動けばいいかと考えたり、反応しようと思って、実際に動けたり、反応できたりするのは、新鮮さがありますね」(馬場)

 結果を得ることは、サッカー選手にとって何よりの喜びだろう。だが、同時にプレーの幅が広がっていくことを実感できていることも、選手にとっては大きな幸せだ。高山は言う。「監督も『頑張って負けたなら仕方がない』と言ってくれている。だから、自分たちは頑張るだけです」。与えられた自分らしさを出せる役割を、楽しみながら、全力で取り組む。快進撃を見せるヤング・ベルマーレ。その勢いは、まだまだ止まらなさそうだ。

(取材・文 河合 拓)

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