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[戦評]チーム状態の"差"が明確に表れたゼロックス杯

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[2.28 ゼロックス杯 鹿島3-0G大阪 国立]


田村修一の「視点」

 昨年のリーグ王者・鹿島アントラーズvs天皇杯王者・ガンバ大阪。注目のゲームだったが、蓋を開けてみると試合は一方的なものだった。

 まず鹿島は、今日の試合を見る限り非常に良い準備が出来ていた。昨年からメンバーは変わっていないが、鹿島らしいサッカーをキッチリと仕上げていた。早い攻撃にカウンターと相手の穴をつく巧さも見せ、隙のなさをアピールしていた。長いシーズンを迎えるにあたっての課題は、選手層の薄さと高齢化だろう。夏場に怪我人を出すことなく秋に突入できるのか、これは鹿島にとって大きい。開幕戦の相手は、監督が変わったことで「個」から「組織」のチームへと変貌を遂げつつある浦和。監督とチームと戦術が噛み合えば、優勝候補の一角だと思う。今の段階で非常に状態が良い鹿島が、その浦和にどう対するのかはとても楽しみだ。

 一方、ガンバは調整が非常に遅れていた。しかし、昨年末にはクラブW杯、正月までは天皇杯を戦っていたのだから、これはある意味で仕方ないこと。キャンプではかなりの負荷をかけ、怪我人も続出してしまった。今の状況でシーズンを占うことは出来ない。ガンバの最大の懸念材料は加地亮の怪我による不在だ。それをこのゲームで改めて露呈してしまった。この日はいつもの4バックでなく3バックで臨んだが、この最終ラインが全くと言っていいほど機能しなかった。加地のかわりに右SBを務める選手がいないのが、ガンバのアキレス腱。レアンドロやチョ・ジェジンらFWを補強する以前に、ここを補うべきだった。
 攻撃の面では、二川孝広の不在も大きい。この日の前半、トップにルーカスが入っていたが、後半は3バックを4バックに変更した関係もあり、ルーカスを2列目に下げた。ルーカスを前に出すと中が薄くなり、ルーカスを中盤に置いたら前線の力が弱くなった印象がある。ここにも二川不在のしわ寄せがきていた。様々な要因を抱えていることもあり、今のガンバの状態は良くない。しかし西野監督はそこまで悲観もしていないだろう。全タイトル奪取を掲げているだけに、シーズンのどの時期にチームとしてのピークを持って来るのか、それは監督が一番考えていることだと思う。今日は、結果はもちろん、試合内容も良くなかったが、徐々にチームコンディションを上げてくるに違いない。

<写真>ゼロックス杯を制した鹿島
(取材 フットボールアナリスト田村修一)

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