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ホーム初勝利へ"切り札"は矢野、9ヵ月ぶり復帰

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 アルビレックス新潟のFW矢野貴章(24)が08年6月22日のW杯アジア3次予選・バーレーン戦以来、9ヵ月ぶりに日本代表に復帰した。岡田武史監督は「リスクを冒してでも点を取りにいくとき、ゴール前に入っていける選手ということで選んだ。ひとりつぶれて、こぼれ球に誰かが入っていくとか、(矢野は)飛びこんでいける選手。コンディションもいいし選んだ」と説明した。

 岡田監督はこれまで長身FWではFW巻誠一郎(千葉)をコンスタントに招集してきた。だが、実際にはアジリティーのある小兵軍団をアタッカー陣に並べ、終盤にパワープレーを仕掛けることもなかった(最終予選で巻に出場機会はない)。

 今回は違う。「勝負をかける」「リスクを冒す」との言葉を繰り返し、最終予選ホーム初勝利へ執念を見せる指揮官。その切り札として指名したのが矢野だった。

 「巻のプレースタイルと今の貴章を比べたとき、ゴール前に走り込んでいけるということで、今の貴章の方がいいと判断した」

 矢野は今季、新潟で3トップの右サイドを務めるなど新境地を開拓している。15日の鹿島戦(2-1)では今季初ゴールとなる先制点を決め、勝利に貢献。2連勝と好調なチームを支えている。

 最終予選2勝2分の岡田ジャパンだが、ホームではウズベキスタンと1-1、オーストラリアと0-0で勝利がない。得点もわずかに1。「ウスベキスタン、オーストラリアというしっかりしたチームが徹底して守ってきたら、そう簡単に点は取れない」。そう指摘した指揮官は「よりリスクを冒すことが足りなかった」とも認めた。

 「ゴール前に入る人数を増やしたり、そこの質を上げたり、そういう積み重ねをしたいきたい」。オシムジャパン時代の07年9月11日には強豪スイスを相手に決勝点を奪い、4-3の劇的勝利に貢献した矢野が、W杯アジア最終予選に初見参する。

(取材・文 西山紘平)

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