[4.23 関東大学サッカー1部第3節 中央大 1-0 東海大 三ツ沢陸上]

　JR東日本カップ2009 第83回関東大学サッカーリーグ1部は22日と23日、第3節を行った。23日には昨年度の全日本大学選手権(インカレ)優勝の中央大と2シーズンぶりに関東1部復帰を果たした東海大が対戦。中央大がDF山田佑介(4=川崎F U-18)の決勝ゴールで1-0で勝ち、5位へ順位を上げた。
<出場メンバー>
　
　新生・中大が終盤に何とか奪い取った1点で競り勝ち、白星を先行させた(2勝1敗)。4バックと1ボランチのMF滝戸諒(2年=清水ユース)らが自陣での守りを固めて攻撃も人数をかけない戦術(リトリート)を採用した東海大に対し、中大は優勝したインカレメンバーの村田翔主将(4年=F東京U-18)、永木亮太(3年=川崎F U-18)の両センターハーフを中心に圧倒的にボールをキープ。ただし、局面を崩すことはできるものの、引いて守る東海大を崩すアイディアをやや欠くなど攻めあぐね、いい形でのラストパス、シュートまで持ち込むことができない。
　そして何度か訪れた決定機も決めきれず。開幕2試合でPKの1得点のみだった中大は、27分に村田を起点とした攻撃からMF柴橋浩太(4年=桐光学園高)の右クロスを08年U-19日本代表FW林容平(2年=浦和ユース)が合わせるなど好機をつくるが、課題の決定力不足がこの日も顔を出していた。

　後半もボールを持っていたのは中大。だが、22分に村田の右クロスからファーサイドの永木がGKと1対1になりながら、東海大GK小笠原巧麻(3年=東京学館高)の好守に阻まれるなど、“守って1チャンス狙い”の東海大の思い描いた展開のまま試合は終盤へと突入していく。
　東海大は攻撃で相手に与える脅威は少なかったものの、全日本大学選抜の攻撃的MF岩上祐三(2年=前橋商高)にボールが入ると、スピードアップ。後半は前半ゼロだったシュートにまで持ち込む場面を増やしていった。それでも中大は後半39分、村田の左CKのこぼれ球に鋭く反応した山田が左足シュートをゴールへ突き刺し、ようやく先制。この後、アタッカーのカードを立て続けに切った東海大のMF森淳貴(2年=東海大翔洋高)らにサイドを破られたが、中大はGK小野博信(4年=韮崎高)の好守で耐え、逃げ切った。

　中大の佐藤健監督は「守りを固めた相手を崩すのは難しい。こっちが早い時間に1点取れれば相手も攻めるしかないから2点目、3点目が入ったと思うけど。全体的に得点力不足ですね。前の選手がちゃんとPAの中で仕事をしないと。緊迫した試合で点取る選手が出てこないと優勝できない」と何度かあった決定機を決め切れなかったFW陣にカツ。村田主将は「(思い描いているチームの攻守には)まだチョット足りない。(初戦)の神大(神奈川大)の頃よりはいいけど、決めきるとか、崩しきるとかあとチョットのところをできるように」と口にした。
　昨年度のインカレを制したことで、チームに対する注目度は例年以上。決勝点を決めた山田は「今年は今年。チャレンジすること」と強調するが、選手は周囲からの、そして自らのプレッシャーに勝っていかなければならない。高まる期待の中で結果を残すことができるか。
　村田主将が「個々は昨年よりいい」と分析するチームは、抜群のチームワークと勝負強さで日本一になった昨年でもできなかった関東リーグ制覇を目標に掲げている。村田主将は「今年は健さん(佐藤監督)を西が丘(関東リーグ最終節の地)で胴上げしたい」ときっぱり。今年1月、16年ぶりに大学日本一に立ったチームは31年ぶりのリーグ制覇で“偉大な”昨年越えを狙う。

<出場メンバー>
[中央大]
▽GK
小野博信(4年=韮崎高)
▽DF
佐藤秀行(4年=塩釜FCユース)
岩本大(3年=清水ユース)
山田佑介(4年=川崎F U-18)
田港周平(2年=桐光学園高)
▽MF
永木亮太(3年=川崎F U-18)
村田翔(4年=F東京U-18)
柴橋浩太(4年=桐光学園高)
佐藤謙介(3年=浦和ユース)
60分→田仲智紀(1年=浦和ユース)
▽FW
林容平(2年=浦和ユース)
45分→鈴木寛一(4年=浦和東高)
新田圭(3年=桐光学園高)
79分→安柄俊(1年=東京朝鮮高)

[東海大]
▽GK
小笠原巧麻(3年=東京学館高)
▽DF
藤野洋平(4年=作陽高)
田中大二郎(2年=滝川二高)
金井隆太(2年=日大藤沢高)
佐伯尚平(1年=広島ユース)
▽MF
岩上祐三(2年=前橋商高)
坂本勇太(3年=東海大浦安高)
85分→森淳貴(2年=東海大翔洋高)
里中頌平(2年=四日市中央工高)
岡山永(2年=桐蔭学園高)
54分→堺星哉(3年=東海大五高)
滝戸諒(2年=清水ユース)
▽FW
早嵜大輔(3年=東海大菅生高)
87分→笹島大(2年=明秀学園日立高)

<写真>後半39分、先制ゴールを決めた中央大・山田(左端)がチームメイトともに喜ぶ
(取材・文　吉田太郎)