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[戦評]コンディションの上がらないブラジル、良くも悪くもカカのチーム

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[6.25 コンフェデ杯準決勝 ブラジル1-0南アフリカ ヨハネスブルク]

田村修一の「視点」

 ブラジル代表のドゥンガ監督も試合後に話していたが、今月上旬にW杯南米予選を2試合戦ったあとの大会ということもあり、選手には相当、疲労の色が見える。初戦のエジプト戦も前半3-1から最後は4-3にまで追い上げられるなど後半は足が止まっていた。時差にも慣れて、徐々にコンディションは良くなっていくかなと思っていたが、そうでもなかった。

 準決勝も前半は試合を支配していたが、後半はカカが前線に残って動かなくなってしまった。途中出場のダニエウ・アウベスのFKで勝つことはできたが、細かいミスは多かったし、連動もなく、全体的なパフォーマンスは低調だった。

 今のブラジルは良くも悪くもカカのチーム。カカが本調子であれば強いが、この試合のようにカカが動けなくなると、途端に苦しくなる。

 ただ、タイトルの懸かった決勝は最後の気力を振り絞ってくれるだろう。相手はグループリーグで3-0と快勝したアメリカだが、大会を通して尻上がりに調子を上げてきている。組織もしっかりしているし、面白い試合になるのではないか。

 ブラジルは元鹿島のジョルジーニョ氏がスタッフに入り、対戦相手の分析などを担当している。ブラジルらしい奔放なサッカーをやっていればいいというのではなく、しっかり相手のことも分析した上で戦術を決める。欧州的なアプローチをするようになってきた。そのため、結果が出ても「つまらないサッカー」と批判されることが多いが、ドゥンガ監督は新しいブラジルのスタイルを確立しようとしているのだと思う。

 一方、敗れた南アフリカは旧態然としたブラジル式のポゼッションサッカーを志向している。ブラジル人で元仙台監督のジョエル・サンタナ監督が今年からチームを指揮しているのだが、正直、この監督で本大会を勝ち上がるのは厳しいと思う。

 プレーの速さを追求していないから攻守の切り替えが遅いし、前にパスコースがあっても後ろに戻してビルドアップする。相手に守備組織を整える時間を与えてしまい、簡単に守られてしまっている。準決勝もブラジルのプレッシャーが甘かったこともあってボールを回せる時間帯はあったが、最後まで決定機をつくることはできなかった。

 グループリーグではニュージーランドに勝って、イラクと引き分け、勝ち点4で準決勝進出を決めたが、来年のW杯にニュージーランドレベルのチームは来ない。最低でもイラクよりちょっと上のチームだろう。自分たちより強い相手に通用するサッカーではなく、今の監督、今のスタイルではグループリーグ突破も難しいと言わざるを得ない。

(取材 フットボールアナリスト田村修一)

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