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[高校総体]昨年王者、好采配と勝負強さで"死闘"制し連覇へ王手!(市立船橋vs大津)

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[8.3 平成20年度全国高校総体サッカー競技大会準決勝 市立船橋 2-2(PK4-3) 大津 駒場]

 「この試合はもつれるぞ」。前半からの大津の激しい守備を見て市船橋・石渡靖之監督はそう感じた。その直感通り、試合は大津に点を奪われては取り返す"死闘"となった。
 この日の市船橋は前半から連係ミスが目立った。マンマークの大津陣に簡単にボールを奪われ守備に回る時間が多く、前半17分には大津のエース黒木一輝(3年)に先制点を奪われた。「正直言って、大津はもっと疲れていると思っていた。でも気力はもちろん、走れていたし、中盤の連携はうちよりも上だからあの先制点は苦しかった。それにしても中村がよく決めてくれた」、そう石渡監督が振り返るように苦しい時間帯の32分、FW鈴木宏樹からのクロスをMF中村充孝(3年)が技ありのゴールで同点にした。
 後半に入り再び大津・黒木の追加点で1-2とされたことで、市船橋ベンチは大きく動いた。長身のMF望月陽介(2年)を投入し、CB青木將英(3年)を前線に上げることで、望月、青木、野口翔太(3年)と180cm級の選手3人をゴール前に配置した。「望月はヘディングが強く巧い選手。最後の10分、ゴール前の武器を3枚に増やすことで勝負をかけた」。望月は投入された4分後、右CKから鈴木があげたクロスを頭でねじ込み、石渡監督の期待に見事に応えてみせた。同点に追いついた試合終了直前、石渡監督はGK若尾直道(3年)を有冨大起(2年)に交代しPK戦へ臨んだ。ここでも石渡マジックが大当たり。緊張のPK戦は、有冨が大津キッカー2人を止め勝利。市船橋は冴え渡る監督の好采配と勝負強さで、見事に2年連続で決勝戦へと進んだ。「若尾の守備は悪くなかった。でも最後の最後で流れを変えたかった」。そう話す石渡監督の采配が勝負を分ける結果となった。
 これで4日の決勝戦は、流経大柏(千葉1)との千葉県勢の対決となった。今年流経大柏には、高校総体県予選決勝、プリンスリーグと連敗中だが、石渡監督は至って強気。「この苦しい勝負に勝ったのはチーム成長の証。期待できます」。キャプテンの中村も「互いに手の内を知っている相手だから明日は真っ向勝負。3度目の正直、潰しにいきます」。大津との死闘を制し、更なる"死闘"へ向けチームは一つになった。前年王者のプライドをかけ、明日は死んでも負けられない。
<写真>大激戦となった一戦は指揮官の好采配もあり前年王者・市立船橋が制した
(取材・文 山口雄人)

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