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[北京への道(5)]FW李忠成(柏)

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[7・6 J1第15節 柏 1-0 G大阪 柏]

 0-0の後半30分、柏レイソルは左サイドのMFポポからのパスをMFフランサがダイレクトでU-23日本代表FW李忠成へパス。これを李が左足で決勝ゴールをねじ込んだ。試合前の宣言どおりに元神戸MFビスマルクのゴールパフォーマンスを真似てみせた李。だがヒーローは試合後、複雑な表情を見せていた。
 この試合唯一のシュートが試合を決める千金弾。それでも笑顔にはなれなかった。自身の試合全体でのパフォーマンスが明らかに不満だったからだ。「点入る前に3つくらいミスして悔しかった。本当ならうれしいはずだけど、全然うれしくない」と反省の言葉がばかりが口をついた。
 1トップとして出場した李だが、前半はほとんど攻撃に絡めず。2列目のフランサやポポが決定的な場面を作っていた一方で、ボールに触れることもほとんどなかった。後半はチャンスに絡んでいたが、わずかなタイミングの差やミスでシュートを打つことができなかった。それでも「味方からボールが入ってくることを信じていた」との言葉通り辛抱強くチャンスを待ち続け、1点を奪取した。
 前節の浦和戦での先制弾に続き、ACL8強のG大阪を下すゴールに価値があることは間違いない。今季リーグ戦で挙げた4ゴールはいずれも勝利つながっており、うち3ゴールは先制点。U-23日本代表として出場したトゥーロン国際大会(フランス)でのオランダ戦でも決勝ゴールを決めている。五輪代表は前線のタレント不足を嘆かれるが、この男の勝負強さはやはり魅力だ。J再開後の活躍、勢いは十分。北京でも勝負を決めるゴールを奪うことができるか。
 明日7日からの五輪代表候補合宿へ向け「周りの選手は死に物狂いでやってくるはず。自分も負けないように頑張る」と意気込みを口にした李。この日、日立柏サッカー場では「七夕ナイト」というイベントが実施され、李は短冊に「柏を日本一のチームにすること」と「北京で得点王をとること」を記した。願いをかなえるには、自らの勝負強さを活かしたゴールが必要。自らの足で、頭で、ライバルたちを打ち下していくしかない。

(取材・文 吉田太郎)

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