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[北京への道(7)]FW豊田陽平(山形)

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 五輪代表18人を懸けた最後のアピール合戦が始まった。J2勢から唯一招集されているFW豊田陽平(モンテディオ山形)は前日の岐阜戦に途中出場しながらも、千葉合宿初日のこの日はフルメニューを消化。FW李忠成(柏)ら公式戦などに出場していた8選手が別メニュー調整するなか、185cmの長身FWは熱心にボールを追い続けた。
 PA大のスペースを使っての7対3ではDF内田篤人(鹿島)の右クロスを右足で押し込みゴール。MF梅崎司(浦和)の右クロスからクロスバー直撃のヘディングシュートも放つなど、右腓骨骨折の影響を感じさせないプレー。そして練習の最後にはFW森本貴幸(カターニャ)と2人で居残りのシュート練習まで行った。
 今回はゴールを決めたアンゴラA代表戦以来の五輪代表招集。4月6日に負傷してから3ヵ月がかかった。「開幕から上り調子でいるときに怪我をした。ショックは大きかった」と負傷した当時を振り返る。ただ反町康治監督からかけられた「焦らずに直せ。待っているぞ」の言葉が支えとなった。「ケガを直そう、しっかりケガを直したら調子のよかったときのようなプレーをしよう」とリハビリに励んだ。
 そして6月29日に公式戦復帰。チームではまだ先発の座を奪い返せていないが、指揮官は言葉通り豊田を最終合宿に招集してきた。豊田は「復帰して間もないときにチャンスをもらった。精一杯やる」と気合い十分。対して反町監督は「ケガの影響なくやってくれたのでよかった」とほっとした表情を見せた。

 合宿最終日には千葉との練習試合が予定されているが、現在2位の山形は当日にJ1昇格を争うC大阪戦(NDスタ)を控える。そのため、豊田は代表を離れ、チームに合流する可能性もあるという。豊田自身はこの問題について知らされていなかった模様。ただ、たとえ練習試合に出場することができなくても、後悔しないよう与えられた時間の中で精一杯自分を出すつもりだ。「自分の特徴である高さ、スピードを活かしたいと思う。このチームがやりたいことに上手く溶け込んで能力、パフォーマンスを上げていきたい。そして自分が五輪代表になりたいという気持ちの入ったプレーとかできたらいい」。一時はケガで絶望視されていた五輪代表入りへ与えられたチャンス。この機会を逃すつもりはない。

(取材・文 吉田太郎)

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