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[北京への道(11)]FW森本貴幸(カターニャ)

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[7・9 練習試合 U-23日本代表候補 4-0 千葉]

 U-23日本代表FW森本貴幸(カターニャ)が北京五輪メンバー発表(14日)前最後の実戦で強烈なインパクトを残した。45分2本行われた千葉との練習試合の2本目だ。FW豊田陽平(山形)と2トップを組んで出場した森本は15分、右SB細貝萌(浦和)の右クロスを左足で合わせ先制ゴール。目の前のDFにボールが当たりコースが変わりながらも冷静にゴールへと押し込んだ森本は、左手を空へ向けて突き上げ、喜びを噛みしめた。さらに3-0で迎えた34分にはPA外から左足シュートをゴール左隅へたたき込んで2点目。「(今日は)結果を出そうと思っていた。うまくいいところが出たので良かったと思う」と満足げに振り返った。
 あと1ヵ月後に迫った北京五輪は、森本にとって待ちに待った世界大会だ。東京V時代の04年3月に15歳10ヵ月でJデビューを果たし、同年5月には15歳11ヵ月28日でJ1最年少得点記録を更新。日本中に衝撃を与えたストライカーは、翌05年には17歳でU-20W杯(ワールドユース)にも出場し、4試合すべてに途中出場した。ただそれ以来、「怪物」が世界を相手に躍動する機会はなかった。年代別の代表合宿、親善大会に招集されることはあっても、日の丸をつけて公式戦を戦う機会にはなかなか恵まれなかった。エースとして期待された昨年のU-20W杯も左膝前十字靱帯断裂の影響で出場は叶わず。森本不在のチームはベスト16で姿を消した。
 しかし、06年夏からイタリアで戦い続けてきた男は北京五輪への1チャンスを逃さなかった。反町ジャパン初招集となったトゥーロン国際大会(フランス)では早速フランス戦でゴール。最終アピールの場となった今回の千葉戦でも再びゴールという結果を残し、改めて自身の存在価値を示した。周囲の高まる期待に対しては「まだ選ばれるか分からない」と冷静だが、北京への思いは人一倍強い。「ここまできたら残って、北京行って活躍したいと思う。選ばれたらしっかり仕事して頑張っていきたい」。アジア予選出場なしの“遅れてきたエース”。だが8月、森本が中国の地で再び衝撃的な活躍をすることを日本中が期待している。

(取材・文 吉田太郎)

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